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今年も振り返ります! 大人女子のおしごと事情

大人女子のおしごと事情

3年目を迎えた「大人女子のおしごと事情」。編集長・小路桃子が「会いたい!お話を聞きたい!」と思った方にお願いし、ご登場いただいています。
さてさて、今年も1年いろいろな方にお仕事について伺いました。ライター・菅原と一緒に振り返ります。

「子育て」がキーポイントに

菅原――今年もいろんな職種の方にご登場いただきました。振り返ってみてすぐ思い出したのは、私たちより少し先輩の、高山さんのお話。長年働かれてきた企業を辞めて、結婚されて、起業もされた。

小路――あと数年働けば定年で、さらに経験年数もあるのだから金銭的にも安泰。でもやっぱり自分の思うことを実現したいときっぱり辞められたというのがすごいね。

結婚もそうだけれど、子育てがキーポイントになっている人たちも多かったかな。お医者さんの水谷さん、派遣社員の近藤さん、フリーランスライター・エディターの杉本さん。

菅原――大企業を辞めて起業した長坂さんもそうだね。「会社勤めのときは、自分のペースに子どもを合わせていたけれど、起業後は子どものペースに合わせられるようになった」って。私も昔は、正社員で、その道でバリバリ働くのが王道だろうという意識があったのだけれど、だんだん、その時々で一番いい働き方を選べばいいと思うようになってきたよ。今年お話聞いた方たちもわりとそういう選択をされていた。

小路――そうだね。お医者様というと休みもなく働くイメージがあったけれど、水谷さんは家族も大事にしたいと、開業して自分で時間のコントロールもされていたね。お子さんもいるから、ファミリー層、特に女性や子どもに寄り添う診療をされていて、いいなあと。

子育てでは生理的な部分で女性しか担えない部分も割とあって、それを無理やり企業や組織に合わせてなんとかするのではなく、その時期はこう働く、と、仕事の形を変えていくのもありだなと思いました。

努力・アグレッシブ

菅原――芯の強い人が多かった。自分の病気と海外経験から、シアバターの生産・販売を始めた大山さん。大変な闘病だったと思うけれど、それをきっかけに本当に体にいいもの、自分が使ってよかったものを広めたいと。シアバター、我が家では家族全員愛用しているけれど、本当にいいよ。

小路――イラストレーター&PRのカイフチさんも、ものづくりとPR、両方のお仕事をされていて。どちらにも「ものづくり」という芯が通っていたね。あと、芯が強いといえば、吉池さんの右に出る者はいない(笑)。

菅原――確かに。鎌倉で12年続けてきたお店「mimi Lotus」を閉めてネパールへ。今、実際に向こうで現地の人たちに自分のチャイをふるまってる。

小路――吉池さんのSNS見るとなんだか励まされるよ。「6割計画できたら実行する」っていうのも印象的だったなあ。たぶん6割って、半分より少し多いくらいだから、そこで踏み出せる人って少ないかも。8割だったら、始めてみてからあとの2割はなんとかなると思えそうだけどね。吉池さんなりの成功体験から6割なんだろうね。あとは残りの4割を頑張れるパワーを持っているということかな。

菅原――努力もすごいね。

小路――そして皆さん前向き。一番驚いたのはアクセサリーデザイナーの建元さん。素敵なお家をアトリエ兼住まいにされているんだけれども「この家はなんだかいい空気が流れている気がして」って話してた。

菅原――実は私とももちゃんの学生時代の先輩だけど、在学中は孤高の美人という感じでちょっと近寄りがたかったのね。でも今回お会いしたらすごく気さくな方だった。ご自身でも、イギリス留学によって自分を正しく売り込んでいく、ということを学んだとおっしゃっていて、学びの中や、働いていく中で身につけていく強さもあるのだなと。

小路――私にとっては本当に憧れの先輩で、学生時代から仲良くさせてもらっていたけれど、こうやって歳を重ねてお会いできるのってステキだよね。

まずは「暮らし」ありきで

小路――皆さん「こう働きたい」というのの大元には「こう暮らしたい」という思いがあるんだなと思った。近藤さんは2回離婚して、今は派遣社員という働きか方を選んでいて。派遣というとマイナスにとらえる人もいるけれど、彼女はお子さんとの生活を主軸に考えて、その働き方を主体的に選んでいたね。

菅原――ライターの杉本さんが作られた本『会社をやめてもいいですか?』もまさに、働く人にはまず「暮らし」があるということを書いた本だったよね。私はこういう暮らしがしたいから、今こういう形で働いています、っていう。サービスでもなんでも、生活者に提供しているものだから、作って売る側に生活感覚があることは大事。

小路――暮らしありきだなって私も思う。あとは、選択するという意味では今後、専業主婦の方にもお話を聞いてみたいのね。私はいくら忙しいといっても、お母さんの忙しさとは比にならないと思っていて。お母さんって予定通りにいかないじゃない。子どもが急に熱出したり怪我したり。
若い頃はお金をもらって働くことに意味があるって思っていたけれど、それだけじゃないよね。

菅原――うん。それでけっこう皆さんすごいスキル持っているから。イラストが上手とか、写真がうまいとか、教員経験者もいるから子どもたちまとめるのが上手だったり。それを学校活動に惜しみなく提供しているんだよね。無償で。それでね、そういうお母さんたちも「条件が合えば私も働きたいんだけど」って言っている。なかなか条件が合わないって。

小路――わかる。経営者は自分のところの都合を重視して労働条件を出すけれど、例えば子どもが幼稚園や小学校に行っている人は午前中が働きやすい。でも1日3時間でいい、というところはなかなかないよね。

菅原――外国人労働者のことを国会で議論しているけれど、国内にだってまだ働きたいのに条件が合わないっていうだけで働けていない人はたーっくさんいると思うけどね。

今後残っていく仕事は?

小路――私、これから先は企業や組織という形はそんなに重視されなくなってくると思っていて。AIも発達してくるし。そうすると最終的には人が何を求めているかを柔軟に考えて、それを作りだす人しか仕事ができなくなるのかなって。

菅原――上から与えられた仕事をするだけの人ではなくて、自分で仕事が作り出せる人しか生き残れないってことだね。

小路――ヨガ&ヘナインストラクターの尾形さんも言っていたけれど、本当に自分がやりたいことをしたいのであれば、自分でするのが一番。企業にいてはスピード感をもってすることも難しいし、結局は企業が求めていることをしなくてはいけないからと。

菅原――確かにそうだね。一方で、たとえば今まで個人が中心でやっていた農業や酪農などに企業が参入していくっていうのもありかなって。というのは、イオンがイオンアグリっていう農業をしているんだけれど、そこで新卒採用を募集したらものすごい人数の応募があったんだって。企業側もびっくりして。ここは、雇用形態を本体のイオンとほぼ同じにしようとしていて、つまりきちんと休みもとれて、なおかつ農に関われる。そうすると農業に興味のある若者はたくさんいて、希望者が殺到したんだって。少し形を変えれば雇用が確保できる場合もありそうだなと思ったよ。

小路――休耕地も結構問題になっているし。そういうところを個人が企業に貸し出して生かすっていう手もあるよね。去年の荻野さんも言っていたけれど、最終的に残るのは農業って。食べることは人から切り離せないから。今まで個人でやっていたことを企業がやったり、逆に企業がやっていたことを個人がやっていくっていうのもあるのかもね。

菅原――まあそんなこともいろいろ考えながら、来年もまたいろんな方にお話し聞いてみたいね。

小路――そうだね!みなさま来年もどうぞよろしくお願いいたします!

フリーライター菅原然子(すがわらのりこ)
大学で数学、大学院で教育社会学を専攻後、月刊『婦人之友』(婦人之友社)、月刊『教員養成セミナー』(時事通信出版局)等の記者・編集者を経て独立。
人物インタビューや教育関連記事を中心に、多分野の記事を書いています。
夫婦+コドモ2人(♀)の4人家族。
趣味はチェロを弾くこと。
動物と、文字と、音楽をこよなく愛するもの書きです。
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