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私のごきげんな毎日

【ワークスタイル】“ものづくり”から広がる私の仕事 カイフチ エリさん(イラストレーター&PR)

大人女子のおしごと事情

“ものづくり”から広がる私の仕事 カイフチ エリさん(イラストレーター&PR)
この連載は、インタビューする方に事前にアンケートに答えていただきます。カイフチ エリさんの回答を読んで、イラストレーターとPR業、両方かかわっているなんてすごい!でも、いったいなぜこの二つ?と思っていました。

「小さい頃からものづくりが好きで、就職してからも“本気の趣味”として続けていました」というカイフチさん。
そのものづくりが今のお仕事につながっていることがわかりました。

スタートは企業の広報部

――カイフチさんは現在、イラストレーターとして働かれると同時に、フリーランスとしてPRのお仕事にもかかわっていらっしゃいます。

前職がメーカーの広報だったので、PRはその縁ですね。
今は北海道のオーダーメイドソファブランド「blocco」やロボットベンチャー「ユカイ工学」、多治見の器ブランド「LIVING TALK」、あられ煎餅専門店の「浅沼煎餅」などのPRに携わらせていただいています。

カイフチさんがPRを担当しているユカイ工学 BOCCO ボッコ
 
――いろいろな分野の商品PRをなさっているのですね!

はい。すべてものづくりをしている会社のPRである、ということは共通しています。私自身、小さい頃からものづくりが大好きで、お絵かきや工作から始まり、大人になってからもイラスト描きやコラージュ、フラワーアレンジメントなど、ずっと手を動かして何かを作ることを続けてきました。だから、ものづくりをしている企業さんをPRという形で応援したい、という気持ちがあります。

――そして、プロとしてイラストも描かれています。

企業の販促物や出版物の挿絵などの仕事をさせていただくことが多いです。Webマガジンでの2本の連載は、1本は自分でコラムを書き、イラストも担当しています。もう1本は執筆者の方の文章に合ったイラストを描いています。書籍では占いの本「水晶玉子のオリエンタル占星術 幸運を呼ぶ365日メッセージつき 開運暦2019」(集英社)に、「星の子」というキャラクターを採用していただいています。これは、昔から小人が好きでつくっていた「小人のtaro」というキャラクターが元なのですが、そのキャラクターを27種類、筆者の方のイメージに合うものを作っています。

こびとのtaro;。ぬいぐるみの縫製はお母様が担当

「本気の趣味」を続けた先に

――大学卒業後はメーカーに就職されたのですね。

そうです。インテリア雑貨やトラベル雑貨をはじめ、オーガニックコスメなど、いろいろなものを扱う会社でした。人と会うこととものづくりが好きですと、面接でお話したところ、広報部へ配属になりました。入社前は何をする部なのかよくわからなくて、広辞苑でひいたくらい(笑)。

――ではその会社でさまざまなもののPRを経験されたのですね。

はい。文具や家電、雑貨、多種多様なものを扱っていたので、そうしたところで様々なことに携われたのは、今の仕事にとても役立っていると思います。
一方で、ものづくりが好きで、イラストも描いていることはなんとなく社内の方にも伝わっていて、専属のグラフィックデザイナーから時々「この販促物に使いたいから消しゴムハンコを彫ってほしい」と依頼がきたりしていました。

消しゴムハンコの数々
 
――なるほど、会社にいらっしゃるときから、ものづくりとPR、両方に関わっていたのですね。

その会社には6年いたのですが、デザイナーに頼まれて消しゴムハンコを作ったり、イラストを描いている中で、だんだんとこれをプロとして仕事にしたいなと思い始めました。また、5年目に東日本大震災が起こって。いつ何があるかわからないから本当にやりたいことをやろうと、1年間じっくり考えて、やっぱりものづくりがしたい、と自分の気持ちが見えてきたので独立することを決めました。

PRとものづくり、相互によい影響が

――独立されるときは、作家としてスタートされたのですか?

最初は自分のものづくりや作家活動をしていこうと考えていました。実は独立を考えていたころにちょうどイラストの依頼をいただいたこともあり、イラストレーターとしてのお仕事からそこからスタートしました。
PRは、人づてに手伝ってもらえないか、とお声かけいただいて始めました。その後も様々なご縁が続いてご依頼をいただいて、イラストもPRの仕事も両方続けることができています。

――2つの仕事を両方続けるのは大変ではないですか?

今のところは、相互によい影響があるので、バランスがとれている感じですね。PRの仕事では人との出会いによって、新しいアイデアが生まれます。それがイラストにつながることもあって。
イラストに関しては、お仕事をいただくたびに新しいことに挑戦できるので、そのたびに自分のスキルが上がっていくと感じています。

「できる?」と聞かれた時に、やってみよう、と考えることが自分の技術や手法に広がりを持たせられて。そうしたものづくりを自分で経験していることが、ものづくりの会社のPRをするときに、作っている方たちの気持ちに共感できることにつながったりもします。

PRを担当していた会社の社長さんから「器のデザインをしてみないか」とご依頼いただいたこともあります。「あなたの普段の服装やいいと思うものの感性を見て、頼みたいと思った。カイフチさん自身がほしいと思う器をつくって」と言われて、ああ気が抜けないなと(笑)。でもとてもうれしかったしやりがいのあるお仕事をさせていただいています。

――なるほど。2つのお仕事のつながりがわかりました。独立されるときに経済的な不安はなかったのですか。

ありました。仕事をどのくらいいただけるかもまったくわかりませんでしたし。ただ、ありがたいことに当時は実家にいたので、1年間は作品づくりに集中しようかなと。それと同時にイラストレーターとしての芽が出なければまた就職活動をするつもりでした。

その後徐々に仕事もいただいて、しばらくしてからは一人暮らしを始められました。知り合いのフリーランスの方から「自分の実力より少し上の家に住むといいよ」と言われて。そうするともっと仕事を頑張ろうと思えるからと。なるほどと実行してみたら、結果的によかったです。

――専門の勉強をしていなくても、イラストレーターとしての自信はだんだんついてきたのですか?

絵の専門的な勉強をしていないことが始めはコンプレックスで、プロとして自信を持つのは少し時間がかかりました。

でも、イラストレーターの仕事につながるきっかけは学生時代にあります。当時、アルバイト先のカフェで自作のイラストのポストカードを販売させてもらっていたのですが、あるとき同じ絵柄をたくさん買ってくださるお客様がいらして。
お礼を言ったら「このポストカードで手紙を出すと喜ばれるのよ」と言ってくださったんです。
それを聞いた時に、ああ私の絵は目の前にいる人だけではなく、その先の人にも喜んでもらえるんだとすごくうれしかったんです。

独立するときも、自信がなかったのになぜ踏み切れたかというと、うまい絵はうまい人に任せようと気持ちが吹っ切れたことも大きいですね。

それまではプロの人から見たら私の絵はどう見られるんだろう、と不安に思うこともあったのですが、やろうと決めたときは、私はうまい絵を描きたいわけじゃない、私の絵を見て「気持ちがなごんだよ」とか「贈って喜ばれた」と言ってくださる方がいるんだから、そんなに遠くを見なくていいのかなと。

まずは目の前にいる人たちに喜んでもらい、それがいずれ遠くまで届いてくれたら嬉しいという気持ちです。

これからもいろいろなお仕事に挑戦しながら、自分の世界観を確立できたらと思っています。

撮影協力
blocco 三鷹店
住 所:東京都三鷹市下連雀4-15-33 三鷹プラザ2F(デイリーズ内)
TEL :0422-24-7107
https://www.bloccoshop.jp/

カイフチ エリイラストレーター&PR カイフチ エリ
インテリア雑貨・オーガニックコスメブランドのメーカー勤務でプレス・プロモーション等を経験後、フリーランスとしてブランドPRやイラストレーターなどのものづくりを行う。
http://erikaifuchi.blogspot.com
 
お仕事を成功させるために心がけていることは?
・明日すべきことを整理して箇条書きにする
・なるべく栄養バランスを気にして料理、食事する
 
オンとオフの切り替え方法は?
・気分転換に料理する、キッチンに立つ
・ティーブレイクを入れる(3時のおやつ)
・掃除する
 
休日の楽しみ方は?
・友人と会う
・美味しいものを食べる
・家族に会う
・ゆっくり寝て、ドラマや映画を観る
・旅に出かける
 
今、プライベートではまっていることは?
・プチDIY(木の板やスツールにペンキを塗るなど)
・料理(きゅうりや人参の酢漬けなど、保存食の工夫)
 
10年後はどんな風にお仕事をされていると思いますか?
ぜんぜん想像できません!笑
願わくば、今よりも深く、スキルや行動力を身につけて、携わったもの・こと・ひとに寄り添い、幸せにする一端が担えている自分でありたいです。
 
これからの夢は?
自分の関わるひと、作るもの、がそれぞれに良い形で世に出たり、具現化していくことです。
また、国内外問わず、旅に出て色々な文化に触れていきたいです。

フリーライター菅原然子(すがわらのりこ)
大学で数学、大学院で教育社会学を専攻後、月刊『婦人之友』(婦人之友社)、月刊『教員養成セミナー』(時事通信出版局)等の記者・編集者を経て独立。
人物インタビューや教育関連記事を中心に、多分野の記事を書いています。
夫婦+コドモ2人(♀)の4人家族。
趣味はチェロを弾くこと。
動物と、文字と、音楽をこよなく愛するもの書きです。
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