大人女子のおしごと事情

【ワークスタイル】フリーになって感じた自由 杉本透子さん(フリーランス 編集・ライター業)

【ワークスタイル】フリーになって感じた自由 杉本透子さん(フリーランス 編集・ライター業)

昨年、10年間務めた出版社を退職し、フリーランスの編集者・ライターとして働き始めた杉本透子さん。

独立当初は自由さを感じたとともに、漠然とした不安もあったといいます。
そんなご自分の悩みを出発点に執筆・編集した『会社をやめてもいいですか?』(杉本透子著 セブン&アイ出版 2018年)のお話も織り交ぜながら、杉本さんのお仕事についてうかがいました。

「暮らし」に関することが好き

――今現在はどのようなお仕事を進められているのですか?

今年出版予定の暮らし本に、ライターとしてかかわっています。製作期間は版元の編集さんとの構想期間も含めて約1年。書籍は企画から発刊までのスパンが長いので、いくつか同時並行することもあります。

会社員時代は書籍の編集をしていましたが、フリーランスになってからはライティングや、原稿のリライトなども依頼をいただくようになりました。

ライティングは『会社をやめてもいいですか?』で初めて経験しました。書くのは大変ですね。私はまだ慣れていなくて、直せば直すほどよくなる…というかよりマシになるので、なるべく早めに書いて推敲を重ねるようにしています。

ラフを書くときはいつもステッドラーの製図用シャーペンを使っています。
多少持ち重りがして、それほど筆圧をかけなくてもいいのがラク。

 
――そのご著書は、いろいろなステップを踏んで生きている女性たちを取材・執筆されたものでしたが、それぞれの方の仕事だけでなく、暮らしに寄り添った内容でとても共感しました。

ありがとうございます。
この本では取材した方の働き方だけではなく、暮らしの部分も大切にしたかったので、読んだ方にそう言っていただけると嬉しいです。

私は小さいころ母や姉が買ってくる主婦雑誌やインテリア誌を読むのが好きで、将来の夢は「主婦」と言っていたこともあり、暮らしに関することが好きでした。

ただ、編集者になってからはいろいろな分野の本を作ってきたので、最初から暮らしまわりに特化していたわけではありません。

入社7年目頃に本多さおりさんの『片付けたくなる部屋づくり』(ワニブックス 2012年)という本を作ったのがとても楽しくて、それがきっかけで「ああ、こういうことが好きだったな」と思い出して。それからは実用書、特に暮らしに関する本を多く手掛けてきました。

片付けたくなる部屋づくり ~古い2Kをすっきり心地よく住みこなす「片付けのプロ」の暮らしテクニック65~ (美人開花シリーズ)

10年間の会社勤めを経て

――前の会社には10年近く勤められたそうですが、なぜ独立されたのですか?

理由はいろいろですが、「将来的にライフステージが変わったときにこのままの働き方でいいのだろうか?」と漠然と思っていたことが大きかったです。そろそろ子どもを授かったらと思ったとき、編集の仕事は深夜までかかることも多い。夫婦とも実家は遠方のため、少し先を見据えて働き方を変えたいといった思いがありました。

――でもやっぱり迷いもありましたか?

それはありました。
私は本に携わる仕事がしたくて、大学入学の時に地方から東京に出てきたのですが、実際に就活してみると出版社の定期採用は倍率が高く、4月入社は全滅。でもあきらめきれず、中小の出版社だと年度途中で募集が出ることもあるので、アルバイトをしながら就職活動を続け、夏に採用が決まったんです。

それからずっと同じ会社で働きました。就活で苦労した分、辞めるのは勇気がいりましたが、一方で、「10年やり切った」感もありました。

――家族には会社を辞めることを反対されませんでしたか?

夫は何度か会社を移った人なので、転職や独立ということにあまり抵抗がなく、むしろ健康のことなどもあって全面的に賛成という感じでした。

実際に辞めてからは生活が規則正しくなり、「顔色がよくなって良かった」と。見た目が健康になったというのは色々な人に言われました。編集者時代は何冊か忙しい時期が重なると顔がかなりむくんでいたようで。

フリーになって感じた自由と恐怖感

――『会社をやめてもいいですか?』の冒頭に、杉本さんが会社を辞めたとき、自由さと恐怖感があったと書かれていますが、具体的にはどのようなことだったのですか?

会社をやめてもいいですか?

恐怖感は、やはり経済的なことが大きかったです。
どんな風に仕事をしていくかもやってみないとわかりませんでしたし、仕事のお話をいただいたとしても、書籍はスパンが長いのでなかなか見通しが立てにくい。

独立一年目は仕方がないのですが、収入がないのに、去年の年収に応じた税金の支払いはあり、どんどんお金が出ていくのは怖かったですね。

そんな中で「会社を辞めた人たちが実際どんな風に暮らしているのか知りたい」と思い、この本を作ることになったのですが、取材してみると皆さんとても楽しそうに、人生を肯定的に暮らされていて、「無駄に不安に感じなくていいんだ、楽しもう」と気持ちが変化していきました。

――なるほど。自由さはどこで感じられたのですか?

「1日をどう使うか」「何をして何をしないか」など、時間的にも精神的にもすべてにおいてですね。

経済的な不安は、仕事が軌道に乗ってきて、1日のリズムができあがった、独立から3か月後くらいには徐々になくなっていきました。

会社員のように通勤時間や社内調整などの時間がないので、同じ冊数に携わるにしても仕事そのものの時間はかなり減りました。その分、お弁当を作ったり合間に家事をしたりということが楽しかったです。

仕事は一度作業に入って集中すれば平均して1日5時間くらいで終わっているかと思います。ただ、集中するまでのアイドリング時間が少し長いのですが(笑)。

――フリーになられてお仕事も軌道にのっている今、将来についてはどのようなビジョンをお持ちですか?

実は夏に出産のため、近いうちに一旦休業する予定です。子どもが生まれたらどうなるのかは、生まれてきてみないとわからない面もありますが、今は、できれば来年からまた仕事に復帰したいなと考えています。あまり長く仕事から離れると感覚を忘れてしまいそうなこともあり…。子どもの保育園のことや、実際に生活がどうなるのか、まだ見えない部分もありますが、フリーになってから、特に同じく会社を辞めた経験のある方たちにとても暖かく応援していただけたので、この働き方の柔軟性をうまく生かして、自分にとって良い働き方を探っていけたらと思います。

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