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【ワークスタイル】アクセサリーで世界を旅する 建元節子さん(デザイナー TATTE by TATTEタッテバイタッテ)

大人女子のおしごと事情

天然石アクセサリーブランド「TATTE by TATTE(タッテ バイ タッテ)」を運営する建元節子さん。アクセサリー制作を始める前はバッグやスカーフなど、小物のデザイン、制作を手掛けていました。「イギリスへ留学して、自分を正しく売り込むことの大切さを知りました」と話す建元さんに、お仕事について伺いました。

旅するアクセサリー


――現在は天然石アクセサリーブランド「TATTE by TATTE」のデザイナーとして活動されています。
そうですね。デザインから制作、販売まで個人でしています。もともとは、イギリスの美術大学及び大学院でテキスタイルとファッションアクセサリーという小物のコースを専攻していたので、卒業後はバッグやスカーフのデザイン・制作をしていました。

帰国してから日本でもそうした商品をいくつかのお店に卸していたのですが、7年前くらいから少しずつ需要も増えていたアクセサリーに一本化してこのブランドを立ち上げました。

――最初から天然石を使っていたのですか?
いえ、素材はいろいろ試しました。ただ、私はもともと「色」にこだわりを持っていて、きれいな色の組み合わせが使いたいと思ったときに、それに一番フィットした素材が天然石だったんです。

――確かに、建元さんの作品の色は、元気の出るオレンジから、ゆったりした気分の時に身に付けたい淡い色まで、それぞれに個性がありますね。
TATTE by TATTEのブランディングをしたとき、このブランドの世界観を演出するために「旅するアクセサリー」というテーマが浮かびました。

毎シーズン、世界中のいろいろな国や街をイメージしたコレクションを発表しています。

シーズン毎にテーマを決め、そこから色、素材をセレクトしていきます。

たとえば2017年の夏はギリシャのサントリニ島、その後はフィンランドのヘルシンキ。今はインドのジャイプールをテーマにデザイン、制作をしています。お客様自身が未だ訪れたことのない地に思いを馳せてみたり、かつて旅したことのある国や街の思い出にひたったりと、シーズン毎に世界各国を旅するような気分でこのアクセサリーを楽しんでいただけたらと思っています。

きちんと自分を売り込む

――建元さんは自由学園を卒業後、自由学園工芸研究所(現:自由学園生活工芸研究所)に就職されます。
小さいころからもの作りが大好きで、何かそういうことに関わる仕事ができないかと考えて、工芸研究所に就職しました。

就職といっても最初の2年間は研修生といって、働きながらデザインの基礎も学べたんです。週2回くらいはショップで働きますが、その他は色彩を始め、基礎的な勉強をしたり。けっこう贅沢でした。

当時のスケッチブック

2年後に織物の部に入ります。そこで織物のデザインや制作をしながら、もっと勉強したい、できればヨーロッパで、と思っていたんですね。それで準備をして、イギリスの美術大学に留学しました。工芸研究所での作品集などを面接に持参したら、2年からの編入が認められて。

イギリス留学時代。沢山の作品をつくり、また多くの作品に触れた日々。

向こうの美大は3年間なので、学部の後に1年、大学院へいきました。というのも、他の学生さんよりも年齢も高いし、卒業後はフリーのデザイナーとして仕事をしていきたいと考えた時に、ビジネスについても学べる院に行っておくのがよいと思ったからです。

――留学で得たものは大きいですか?
そうですね。一番は、日本は「私のようなものでも使っていただけるのであれば」と、だいたい下手に出てあまり自分を売り込んだりしませんが、向こうはたとえ自分がそのとき6しかできなかったとしても「10できます」と言う。それで採用されたら頑張る、というスタイル。自分をちゃんと売り込む、ということを学びましたね。

イギリス大学院時代のクラスメイト。さまざまな国籍、バックグランドを持つ人が集まり切磋琢磨しあいました。デザイナーになった人、大学で教える人、今でも交流があり刺激を与えあえる友が得られた事は一生の宝です。

大学院を卒業してから、展示会で自分の作品を見せて即売することをしばらくして、帰国。日本でも同じようなスタイルで仕事を始めました。

仕事で知り合ったショップのオーナーと話した時、ある企業でバッグの新しいブランドを立ち上げるためにデザイナーを探していると、紹介してくださって。その企業とフリーランスとして契約し、ブランドの立ち上げから7年間くらい関わりました。これはとても勉強になりましたね。商品というものがどうやって作られて、流通するのかを知ることができたので。

以前担当していたブランドのイメージ画

一方で、やはり会社なので、売れるものを作ってくれと言われ、自分が作りたいものと売れるものとのギャップに悩んだこともありました。

その後、子どもが生まれたことなどもあって、契約を終了し、現在のTATTE by TATTEの経営に至っています。今は都内を中心としたセレクトショップ数店舗と百貨店のオンラインショップ、通信販売への卸と、POP UP SHOPなどの催事を中心に販売しています。

――たくさんのお店とやりとりされているのですね。
幸いなことに、どこもかなり長い年数取引させていただいています。

お店といっても、結局は個人と個人のつながりなのかなと。担当の方との関係がよければその仕事はうまくいきます。コミュニケーションの大切さは特に感じますね。

商品をチェック

ただお店に置いてもらうだけではだめで、担当者と話しながら、たとえば伊勢丹であればお客様はこういう方が多いだろうから、こういうものはどうですか、と提案していかないと。せっかくいただいたチャンス、土俵を無駄にしてはいけないなと思います。

人と比べない

――フリーランスで仕事を続ける上で、大切にしていることは何でしょう。
プロとしてこの仕事を続けていくためには、自分が作りたいものであると同時に、それが世の中の人に受け入れられるものでなくてはなりません。きちんと売上をあげて、お店のためにも還元してく。趣味であれば自分の作りたいものを作って利益は関係ないですが、プロとして仕事をするのであれば、それではだめだと思っています。

あとは、イギリスにいたとき、教授から常に「イノベイティブであれ」と言われていました。つまり、今までになかったものを作りなさい、と。だからそれはいつも気にかけています。オリジナリティを見つけられたら強いですよね。

それから、私が仕事だけでなく、人生でいつも心においているのが「人と比べない」ということです。自分がおかれている立場に満足できない、また不安を抱えてしまう原因を考えると、結局は人と比べて自分を評価しているからだと思うんです。「人は人、自分は自分」と考えると、楽になります。

――今後の目標はありますか。
TATTE by TATTEをもっと多くの人に知ってもらうこと。
催事は今、年に約10回程度開催していますが、出来ればもっと増やしたいです。国内での認知度を上げたら、将来は世界にも広げられたらと思っています。

展示会風景
フリーライター菅原然子(すがわらのりこ)
大学で数学、大学院で教育社会学を専攻後、月刊『婦人之友』(婦人之友社)、月刊『教員養成セミナー』(時事通信出版局)等の記者・編集者を経て独立。
人物インタビューや教育関連記事を中心に、多分野の記事を書いています。
夫婦+コドモ2人(♀)の4人家族。
趣味はチェロを弾くこと。
動物と、文字と、音楽をこよなく愛するもの書きです。
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