木工玩具職人の伊藤真穂さんが作る木のおもちゃは、棚に飾ると、それだけで温かい空気につつまれるような気がします。
会社員を経験後、単身でドイツへ修行に行き、技術を身につけ帰国。
「この仕事を続けているのは、ドイツでお世話になった人たちへの恩返し」と話す伊藤さんに、お仕事、そして木の魅力について話していただきました。
展示会中は徹夜で製作も
――伊藤さんは、木工旋盤で主に木のおもちゃを作られています。旋盤ってどんなものなのですか?
旋盤は、木を固定してモーターで回す機械です。
その固定された木に刃物をあてて削り、たとえば人形の顔や体、手足などを作ります。
日本のこけしも、旋盤を使って作られています。
私はドイツで修行をしてきたので、ドイツに伝わる伝統的な技術を使って、玩具を中心にお皿やペンなども作っています。
――具体的には、年間どのようなスケジュールでお仕事をされているのですか?
決まったスケジュールはなく、今は依頼が来るとその仕事をするという感じ。
たとえば、昨年は12月に学生時代の同級生で、フェルト作家とペーパーアート作家の子と3人で展示会をしました。
秋ごろに、会場となるショップから正式に展示会開催の依頼が来て、それから作品を作り、展示会前日に会場に搬入。
3人で展示準備をしました。
同級生とする展示って、やりやすいんです。
「これは、この場所に置くといいよね?」など、お互いにどんどん提案して、作業していけるので。
グループ展などだと、誰がどの場所に置くか、というのでも「あの人いい場所だな」とか、いろいろと出てくることもありますから。
展示会中は、会場にもなるべく行っていました。
作品が売れると、補充するために帰ってからまた制作をし、翌日持って行く、ということの繰り返し。
前もって作りためればいいのですが、その時その時にくる仕事をしていると、なかなかそれができなくて。
徹夜で、朝4時くらいに、3人で「起きてるか~?」って励まし合って作っていました(笑)。
――今小学校4年生と年長さんの息子さん2人を育てながらですから、かなり大変そうですね。
それでもなんとか作っていましたね。
こうした展示会の他には、たとえば旋盤を使って製作をしている人たちのウッドターニング協会というのがあって、私も会員なのですが、そこで講師をしたり、来年度はカルチャースクールの講師を頼まれていたりと、教える仕事もしています。