普段何気なく見ている駅で見るポスター、チラシ、お店の看板…これらの作成には、多くの場合デザイナーがかかわっています。「私の仕事は、お客さまの気持ちや頭の中にあるイメージを形にするお手伝い」と話す、グラフィックデザイナーの板谷さん。今月はいろいろな媒体のデザインを生み出している、板谷さんのお仕事と暮らしについて伺いました。
きっかけはジャネット・ジャクソン
――板谷さんは、具体的に何のデザインをされていらっしゃるのですか。
たとえばポスターやカタログ、看板、名刺、冊子、企業や学校案内のパンフレット、書籍の装丁、POPやホームページのデザインなど、多種多様です。意識的に、なるべく仕事の幅を限定しないようにしています。
――本当にいろいろなもののデザインをされているんですね! やはり学生時代はデザインを専門に学ばれたのですか?
いいえ、一般大学で経済を専攻しました。もともとデザインに興味をもったのは、10代の頃。ジャネット・ジャクソンが大好きで、彼女のCDジャケットを作りたいと思ったのがきっかけです。高校卒業後の進路を考えた時に、美術系大学か、専門学校か、一般大学かという選択肢があって、美大に行った先輩に相談してみました。持参した絵を見た先輩が「みんなとワイワイ話しながら何かをするのが好きでしょ」と。だとしたら芸術系の大学はどちらかというと、個人で創作する世界なので、それよりは一般大学に入って、視野を広げて、デザインの世界に入るのはその後でも遅くはないよと言われました。
――なるほど。では、大学時代は特にデザインとは関係なく…。
そうです。むしろすっかり忘れていました。就職を考えるときになって、あ、そうだ、デザインやりたいんだと思い出して。そしたら大学の先輩が「友だちがデザイン事務所にいる」と紹介してくださり、そこに入れていただきました。社長がデザイナーで、その先輩のお友だちがオペレーター。あとは経理の3人の会社にアシスタントとして入社しました。