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【ワークスタイル】父が教えてくれた仕事への姿勢 森本麻未さん(ネイリスト) - 3

大人女子のおしごと事情

失うものはなかったから

――お父様が亡くなられて、次の仕事を探すときに、また歯科助手をとは思わなかったんですか?

父が亡くなったのは私が38歳の時でした。大学を卒業してから15年間、ずっと歯科助手しかしていなかったのですが、この仕事はわりと若い人のほうが採用されやすかったりもするので難しいかなと思って。でも他の仕事をしたことがないので、パソコンもできないし英語もしゃべれない・・・そうなると、いわゆる事務職のような仕事で応募できそうなところがなかったんです。

父が教えてくれた仕事への姿勢 森本麻未さん(ネイリスト)

それで、興味もあったしセルフネイルもしていたのでネイリストにと思ったけれど、経験も資格もない。『とらばーゆ』で探していたら、幸い前のお店が募集していて、それで勤められました。

かなりハードな勤務で大変なことも多かったけれど、ネイリストってやっぱりどれだけたくさんの人の手に触れたかが大事なので、それはよかったと思います。30代後半での転職でしたが、資格も何も持っていなかったので、失うものがなかったから不安もありませんでしたね。

――仕事をしていく上で、これは守る、と決めていることはありますか?

絶対に、手を抜かないこと。といっても私、そもそも手が抜けないんです。すごく良く言えば、丁寧、かな? 前のお店は短時間で数をこなす、という方針があったので、時間内に終わらせようとするネイリストはどこかが雑になって、結果、クレームになっていました。私も「急いでやりますよ」とは言うけれど、でも時間がおしても絶対に丁寧にしました。そうすると時間はオーバーするので「ごめんなさい、時間かかっちゃって」って毎回言うんですが、「こんなに丁寧にしてくれてありがとう」と必ず言われました。

ピンク色が好き

この、仕事に対する姿勢は父が教えてくれたことです。父はたとえ次の患者さんの予約時間がきていたとしても、絶対に手抜きをしませんでした。待たされている患者さんたちはいらいらして、怒る人もいました。でも、治療が終わるとみんな「ありがとうございました」と言ってくださって、また来てくださった。丁寧にすれば、それは必ず相手に伝わるし、いい仕事になります。

これからは就職活動をして、またサロンに勤めて、同時に自宅でも仕事をしたいと思っていますが、どんな場所でも丁寧にということは守っていきたいですね。

フリーライター菅原然子(すがわらのりこ)
大学で数学、大学院で教育社会学を専攻後、月刊『婦人之友』(婦人之友社)、月刊『教員養成セミナー』(時事通信出版局)等の記者・編集者を経て独立。
人物インタビューや教育関連記事を中心に、多分野の記事を書いています。
夫婦+コドモ2人(♀)の4人家族。
趣味はチェロを弾くこと。
動物と、文字と、音楽をこよなく愛するもの書きです。
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