8センチヒールをはいて、企業のPR部門でばりばり働いていた黒岩さんは、50代になってからその仕事を辞め、和菓子職人を目指します。つくるお菓子は、目に美しく、舌においしく、そして身体にもいいという、食べる側にとって嬉しい事づくし。
これまでの仕事、そして50代になってからの新しい挑戦、新規オープンしたお店「和のかし 巡」などについてうかがいました。
素材は徹底的に試して研究する
――この4月、代々木上原に「和のかし 巡」をオープンされました。どのようなお菓子を販売されているのですか。
皆さんが親しんできた和菓子を、できるだけ体に負荷をかけない素材を選んでつくり、販売します。たとえば、糖尿病の方は血糖値をコントロールするため、糖質を控えますが、そういう方たちにも安心して食べていただける和菓子です。
和菓子に欠かせない糖分は、血糖値が急激に上がらないように、ココナッツシュガーやアガベシロップを使います。きちんと甘味が出せて、なおかつ体によい砂糖は何かと、甜菜糖、米飴、メープルシロップなど、いろいろ試してきて、今は上の2つを使っています。小麦粉など、アレルギーの出やすい材料も避けて、でもおいしくできる代替素材を日々試しては研究しています。小豆などの原料も無農薬・無化学肥料のものを生産者の方から直接仕入れています。お菓子はし好品ですから、身体によいというだけではなく、美しく、おいしい、ということはすごく重視しています。
――和菓子職人になる前までは、どのようなお仕事をされていたのですか?
大学卒業後は広告代理店に就職しました。その後、結婚した相手について渡米。そこでご縁があって雑誌『日経トレンディ』の創刊からかかわらせていただき、ライターをしていました。数年後に帰国してからアメックスのPR担当に。その後、日本へAVEDAが進出するときに、声をかけていただき、AVEDAのPR担当になりました。そこで10年ほど働き、退職。それからお菓子の世界に入りました。