自分の本当に大切な人、大切なもの、希望を見つけられる映画に
–今回初タッグを組んだ永井監督はどんな監督でしたか?
とにかく冷静な方で、しっかりと見極めて芝居を調節してくれるので、助けてもらうことも多かったです。監督が俳優の芝居を撮りたいって思ってくれているのが伝わってきたので俳優としても嬉しかった。シチュエーションを想定してそこに俳優の芝居を当てはめていくのではなくて、「あなたたちが役の人生を生きてください。それを僕たちが撮りますから」って言ってくれて、丁寧に芝居を観てくださる。キャラクターの心の奥を見てくださる方たちの元で芝居をできるのは幸せなことでした。
–共演者の方々の印象も教えてください。
“彼女”役の宮﨑あおいさんとは初共演でした。最初のシーンは“僕”と“彼女”はすでに別れていて久々に会う、という設定だったんですけど、微妙な距離感がうまくシンクロしていたんじゃないかな。その後にちょっと慣れてきたくらいのところで、二人がまだ付き合っていたころのアルゼンチン旅行の回想シーンが入ってきて。二人とも凄く楽しんでいたのでその雰囲気が出ていると思います。あおいちゃんは普段はお酒を飲まないんですけど、今回は撮影の時に実際に飲みながら演じていました。
ツタヤ役の濱田岳君とも初共演です。撮影日数は少なかったけど、じっくりやっていきました。ツタヤとの掛け合いのシーン、好きですね。「アドリブでやって」と言われたので二人で頑張ったんですけど、監督には「アドリブ下手だね」と言われてしまいました(笑)。岳君も、もともと色々な作品を見させて頂いていて、本当にお芝居も素晴らしいし、今回共演させて頂けて嬉しかったです。
奥田さんとは何度もご飯に行きました。函館ロケだったから泊まりでしたし、原田さんと三人でお寿司にも行きました。いっぱいご飯に誘っていただいて、仲良くさせていただいていました。原田さんは本当に可愛らしい方でしたね。旅館のシーンは、本当はみんなその日に帰ることもできたけど一泊しようって言って泊まったんです。みんなで温泉に入ったりもしましたし、楽しくて良い家族になっていました。
–今後挑戦してみたいことはありますか?
ティム・バートンばりの特殊メイクです。日本でファンタジーをやるのって難しいじゃないですか。それが凄く悔しい。規模も熱量も予算も違うし、洋画を観た時によく悔しい思いをしています。だからそういう意味でもチャレンジしてみたい。もし少しでも機会があるなら、そういうお仕事がしてみたいです。
–最後に見どころを教えてください。
自分や自分の親の死とか、大切なものが消えたらどうなるかなんて普段は考えないと思うし、考えたとしても理解できないことだと思います。僕もそうでした。でも、この作品に携わって色々なことを考えられたように、観てくれた方たちにとってもそういう映画になってくれたら良いなと思います。自分の本当に大切な人、大切なもの、希望を見つけられる映画になってくれたら嬉しいです。それに、観てくれる方の年齢や環境によって刺さるセリフもシーンも違うと思うので、観る人によって響くところが違う面白い映画になっていると思います。
『世界から猫が消えたなら』
2016年5月14日全国東宝系にてロードショー
http://www.sekaneko.com/
(C)2016 映画『世界から猫が消えたなら』製作委員会