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ノー・エスケープ 自由への国境

シネマキアート

“『ゼロ・グラビティ』のスタッフが放つ、呼吸すら忘れる緊迫の88分間!”
今回紹介する『ノー・エスケープ 自由への国境』には、こんなキャッチコピーが付けられています。シンプルなプロットを低予算で作っている本作は、キャッチコピー通りの手に汗握るスリリングな展開で、私はぐいぐいと引き込まれました。トランプ政権の不法移民規制もあってタイムリーなテーマですが、政治色がそれほど強い内容ではないので、生き残りをかけたサバイバル・エンタテインメント映画として観ることができます。そして観終わった後には、決して絵空事ではない現実問題を考えさせられる秀作です。

ノー・エスケープ 自由への国境

息子に会うためにメキシコからアメリカへの不法入国を試みるモイセス(ガエル・ガルシア・ベルナル)と15人の移民たち。車のエンジントラブルにより、徒歩で国境を超えることになった彼らに、どこからともなく突如銃弾が襲いかかる。襲撃者は正体不明。逃げ込んだのは身を隠す場所もない、摂氏50度の砂漠。水なし、武器なし、通信手段なし。“自由の国”を目指す命懸けの逃走劇が今、始まる…。

ノー・エスケープ 自由への国境

本作では『ゼロ・グラビティ』(2013)で父のアルフォンソ・キュアロンと共同脚本を手がけたホナス・キュアロンが監督に初挑戦しています。また主人公モイセスを演じるのは、アルフォンソ・キュアロンの出世作『天国の口、終りの楽園。』(2001)や『アモーレス・ペロス』(2000)のガエル・ガルシア・ベルナル(かつてはナタリー・ポートマンと交際していたこともあるメキシコのイケメン俳優)。今年のアカデミー賞授賞式でプレゼンターとして登場したガエルは「メキシコ人として、ラテンアメリカ人として、移民労働者として、ひとりの人間として、私たちを分断する壁の建設に反対する」とスピーチし、拍手喝采を浴びていました。

ジェフリー・ディーン・モーガン

そして、移民を狙撃するサムを演じるのは米テレビドラマ「グレイズ・アナトミー 恋の解剖学」や「ウォーキング・デッド」でお馴染みのジェフリー・ディーン・モーガン。私は「グレイズ〜」の時から彼のファンなのですが、今回も「ウォーキング〜」の悪役ニーガン同様に濃ゆ〜い顔で冷酷に迫ってきます。

アメリカとメキシコの国境をリアルに描き出す『ノー・エスケープ 自由への国境』は、間違いなく“今観るべき一作”! 大自然のなかで繰り広げられる人間の衝撃の闘いの結末を劇場で観届けて!

ノー・エスケープ 自由への国境
TOHOシネマズ シャンテほかにて公開中
http://desierto.asmik-ace.co.jp/

フリーランス エディター・ライター國方 麻紀(くにかたまき)
香川・丸亀出身、東京・吉祥寺在住のエディター・ライター。
女性誌『ELLE JAPON』『VOGUE JAPAN』のウェブエディター、ウェブサイト「GLAM」「tend」「BRASH」統括編集長を経て、現在はフリーランスに。好きな映画のジャンルは、バイオレンスや時代劇、B級など。
「このコラムを読んで普段観ないようなジャンルの映画にも興味を持ってもらえたらうれしいです!」
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