周りの人たちに鍛えられる
――入社後は長く人事を担当されていました。
直後は国内で新卒採用の面接などを担当していましたが、その後、海外人事を担当するようになり、ベトナムやインドなどに工場を建てる際に、現地での採用活動にかかわったり、初めての国で駐在員が快適に過ごせるように制度設計をしたりしていました。
――学生さんの面接はどのようにしていたのですか。
周りの人からはめずらしい方法と言われていたのですが、私は1人の学生さんにつき1時間くらい雑談をしていました。アルバイトとか、サークル活動とか、話題を振って、どんな話が出てくるかを聞き、その人がどんなことを考えているのかを知るようにしていましたね。
志望動機などを聞いても、わりと型どおりの話しか出てこないので、事前に考えてきたことを聞くよりも、その場で会話をしながら、この人は弊社で力が発揮できそうかを見ていました。会社は、1人の社員を定年まで雇用し続けると、人件費が約5~6億円にもなるため、投資と考えました。ですから、長く力が発揮できそうな人をマッチングするために、この方法をとっていました。
自分で言うのもなんですが、私が採用にかかわった人は、その後の中途退社が少ないのです。今でも多くの人が働き続けているので、少しは会社に貢献できたかなと思います。
――その後営業にうつられました
人事はどちらかというと社内向きの仕事が多かったので、外に向けた仕事がしてみたかった、というのもあります。あとは男性が多い会社のため、女性の営業職が少なく、会社としても女性の営業を育ててみようというのがあったのかもしれません。入社8年目から今まで、営業部で働いています。
私はもともと文系なのですが、お客様に営業をするとなると弊社の製品知識なども必要です。色材メーカーですから、基本的に化学の世界。一つひとつ勉強しながら現場で覚えていくしかありませんが、なかなか大変です。また、お客様と工場との間での調整がうまくいかずにトン単位の製品を無駄にしてしまったりということもありました。その時はお客様からの発注を工場へ伝えて製造してもらったのですが、その後先方から「いらなくなった」と言われたのです。仕方がないとも言えますが、もっといろいろなところから情報をとっておけば、予測できたかもしれない、とも思いました。これはアジアのある国のメーカーを担当していた時の出来事なのですが、やはり国が違うと文化も違うので、ものすごく納期をせかされたり、サンプルを大量につくるように言われたりと、どう調整すればよいか悩むことも多々ありましたね。7年間くらい担当しましたがその頃が一番大変でした。
世の中にない新しい製品をつくる仕事なので、日々どうしたらよいか悩みを抱えている感じですけれども、技術の人やお客様と一緒に取り組む中で、育てていただいている部分が多いです。