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私のごきげんな毎日

デッドプール

シネマキアート
デッドプール

前回の『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』に続き、今回もマーベル・コミックのヒーロー映画を紹介するのですが、一筋縄ではいかない「規格外」ヒーローが活躍(…というかやりたい放題)する『デッドプール』の正統と異端のポイントを分析しつつ、その魅力をお伝えしたいと思います。

末期ガンと宣告された主人公ウェイド・ウィルソン(ライアン・レイノルズ)が、ある組織の人体実験でスーパーパワーと不死の肉体を手に入れるも、見るも無惨な姿にされてしまう。元の自分に戻るため、そして愛する彼女ヴァネッサ(モリーナ・バッカリン)と再会するために、自作の赤いコスチュームで『デッドプール』となって戦う物語。

正統派ヒーローとしての魅力は、1. 悲劇からの誕生、2. ヒロインとの愛、3. 華麗なるアクションです。
アメコミ・ヒーローと言えば、悲劇から誕生しますよね。スパイダーマンは特殊なクモに噛まれて、アイアンマンは心臓に重傷を負い生命維持のために開発したパワードスーツで、スーパーパワーを手に入れます。デッドプールも然り。末期ガンで余命わずかとなり、怪しい実験を受け改造されてしまいます。そのせいで顔と全身の皮膚がただれて、ヴァネッサに素顔を見せる勇気がなく、再び彼女と幸せな生活を送りたいと願っています。また、主人公が特殊部隊の精鋭だったということもあり当然強い。そして、背中にクロスさせた二刀流を駆使した戦いっぷりがアクロバティックで超絶かっこいいのです。

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そして異端派ヒーローとしての魅力は、1. 正義感ゼロ、2. 第4の壁の突破、3. NOTイケメンです。
人類を守るなんて正義感はありません。あくまでも自分や報酬のためにマイペースに戦います。生死を分ける戦闘の最中も毒舌・下ネタのおしゃべりが止まりません。カメラに向かって映画を観ている観客に語りかけるという「第4の壁」を破る演出もあります。おまけに、実験の結果ヒーローらしからぬ顔に…。でも演じるライアン・レイノルズは、米『ピープル』誌で2010年に「最もセクシーな男」、2016年に「最もセクシーなパパ」に選出され、元嫁スカーレット・ヨハンソン、現嫁ブレイク・ライブリーという美女キラーの俳優。でも私は同じライアンでもライアン・ゴズリングの方が好きで、これまではいまいちライアン・レイノルズの魅力が分からなかったのですが、本作を観てようやく彼のセクシーさに気が付きました。DCコミックのヒーロー映画『グリーン・ランタン』(11)の汚名返上と、プロデューサーも兼任して奮闘していますよ。

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その甲斐あって、全米では3週連続1位を記録し、『マトリックス リローデッド』(03)、『アメリカン・スナイパー』(14)を押さえ、R指定作品史上No.1と大ヒットしている『デッドプール』。『X-MEN』シリーズのスピンオフ(『X-MEN』未鑑賞でも無問題)ということで、あのスターの意外な登場シーン、『ノッティングヒルの恋人』(99)や『96時間』(08)など映画ファンを喜ばせるオマージュ、引用台詞も盛りだくさんです。さて、いくつわかるでしょうか? そしてマーベル・コミックのヒーロー映画にはお約束のエンドロール後のおまけシーンもお見逃しなく。もう爆笑必至です。まだまだ魅力を言い足りないのですが、期待を裏切らない作品なので、劇場でお楽しみください!

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デッドプール
6月1日(水)TOHOシネマズ日劇ほか全国ロードショー
(C)2016 Twentieth Century Fox. All Rights Reserved.
www.foxmovies-jp.com/deadpool/index.html

フリーランス エディター・ライター國方 麻紀(くにかたまき)
香川・丸亀出身、東京・吉祥寺在住のエディター・ライター。
女性誌『ELLE JAPON』『VOGUE JAPAN』のウェブエディター、ウェブサイト「GLAM」「tend」「BRASH」統括編集長を経て、現在はフリーランスに。好きな映画のジャンルは、バイオレンスや時代劇、B級など。
「このコラムを読んで普段観ないようなジャンルの映画にも興味を持ってもらえたらうれしいです!」
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