東京・飯田橋駅から徒歩3分のところにあるフランス語書籍専門店の「欧明社」。
悲しいことに2月28日をもって閉店します。
1947年創業以来75年に渡り日本とフランスの架け橋として存在。川端康成も来店していたとか。フランス語学習者にとってはまさに聖地でした。
近年フランス語学習者が減少しているのは、フランス語学校に通う側でも感じていました。
私がアンスティチュ・フランセ(旧・日仏学院)でフランス語を学び始めた20年ほど前、週末の学校は生徒で溢れかえっていましたが、最近はオンライン授業も行なっているためかだいぶ静かな感じに。
さらに新型コロナの感染拡大以降は大学での授業のオンライン化が進んだ影響で、語学教材の売り上げが減少したとのこと。経営が悪化する前に閉店を決意されたそうです。
欧明社は飯田橋駅の本店のほか、アンスティチュ・フランセやアテネ・フランセに支店がありましたが、残念ながら昨年10月で閉店しました。
アンスティチュ・フランセの店舗はアパレル系などの撮影によく使用されていたので、見たことがある方も多いのではないかと思います。
電子書籍が主流になったり、ネットでなんでも購入できる時代になってからも、私にとってはこの欧明社の存在はかけがえのないものでありました。
DELF・DALF試験対策は日本語でのテキストがないので、とにかくいろんな本を手にとったり、店員さんに相談したりしながら内容を確認して購入することが多かったです。
今までも頻繁に利用していましたが、今年に入ってからは毎週土曜日はアンスティチュ・フランセの授業の後に通い、都度カバンの持ち手が千切れそうになるくらい大量に本を購入しました。
閉店までの1ヶ月間は原書が20%オフになるセールを開催していて、店内では身動きが取れないくらいに大盛況です。
先日、在庫僅少になりグッと寂しくなった店内で、店長さんに感謝の気持ちを伝えていたら涙が溢れ出てしまいました…。20年間通い続けた欧明社が消えてしまうことは、自分の体の一部を削ぎ取られるような気持ちがして、悲しい思いを通り越して本当につらいです。
断捨離をしていたのですが、この1ヶ月でかなり買ってしまったので新たに本棚を購入し、部屋の片隅に「プチ欧明社」を作ってしまいました。
私ひとりが大量に購入したとしても何もならないけど、「もっと早く何か出来なかったかな」などと考えてしまいます。
閉店まであと数日。
お別れをするなんて、まだ信じられない気持ちでいっぱいです。
「失ってから気づく」なんてよく言いますが、紀伊國屋書店等フランスからの原書を扱う書店は他にもあれど、やっぱり欧明社は唯一無二の大切な存在だったことを改めて感じています。
そして自宅の片隅での「プチ欧明社」での自己満足だけでなく、欧明社が作ってくれた道を、新たな形で継げないものかとも考えています。