私は寒い季節ほど、夜空を見上げて星を眺めたくなる。春も夏も夜空は美しいけれど、晩秋から冬にかけて、なぜか見上げてしまう。
10歳、秋の林間学校の夜に見上げた夜空。雄大な空に飲み込まれそうな感覚の中、零れ落ちてきそうなほどの星たちが微笑んでいた。
18歳、塾の帰りに見上げた夜空。寒い冬の空気が吹き抜け、足元には足跡のない雪。澄んだ瞬きがチアフルだった。
25歳、夜中の公園でアコースティックギターの音色に耳を傾けながら、見上げた夜空。微かに煌めく星が、刹那の時間を感じさせた。
36歳、夜中3時に仕事が終わって、会社のエントランスから見上げた夜空。自分を、星たちが癒してくれた。
すべてがノスタルジー。すべては過去のこと。
冬の星空だけが知っている私は、すべてを赦し、赦され、今を生きている。
吐く息が白くなればなるほど、夜空を見上げてほしい。
そこには今の自分の偽りない感情が浮かび上がってくるから。
どんな暗闇の中でも、真実だけは光輝く。
まるで北極星のように。
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