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私のごきげんな毎日

キャロル

シネマキアート
キャロル

久々に映画史に残るであろう美しい恋愛映画に出会いました。ケイト・ブランシェットとルーニー・マーラのふたりの女優の競演、切ないストーリー、50年代ファッション、音楽すべてがエレガント! 今回はその『キャロル』を紹介します。

本作は、1952年のニューヨークが舞台。高級百貨店のおもちゃ売り場でアルバイトをしているテレーズ(ルーニー・マーラ)は、娘へのプレゼントを探しているキャロル(ケイト・ブランシェット)と出会う。華やかで美しく、裕福そうなのにどこかミステリアスな雰囲気を醸すキャロルに目を奪われるテレーズ。忘れ物をきっかけに、テレーズはキャロルが離婚訴訟の真っ最中で、大切な娘の親権を夫に奪われようとしていることを知る。そして、キャロルへの憧れが思いもよらぬ感情へと変わってゆく…。

原作は、『見知らぬ乗客』『太陽がいっぱい』などで知られる作家パトリシア・ハイスミスのベストセラー小説『ザ・プライス・オブ・ソルト(よろこびの代償)』。1952年に出版された作品にも関わらず、ストーリーに古さを感じず、現代の女性が観ても共感できる内容です。

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何より、『ブルージャスミン』(2013)でアカデミー主演女優賞を射止めた大女優ケイト・ブランシェットと、『ドラゴン・タトゥーの女』(2012)でアカデミー主演女優賞にノミネートされた若手女優ルーニー・マーラの競演は、息を呑むほど優美で素晴らしいです。とくに百貨店での出会いのシーンはまるで絵画のようでファビュラス!

第68回カンヌ国際映画祭ではルーニーが主演女優賞を獲得し、第73回ゴールデン・グローブ賞では異例となるケイトとルーニーのふたりが主演女優賞にWノミネート、第88回アカデミー賞ではケイトが主演女優賞、ルーニーが助演女優賞、そのほか撮影賞、脚色賞、衣装デザイン賞、音楽賞と主要部門6部門でノミネートされ、高評価が集まっています。

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私は以前、『ドラゴン・タトゥーの女』で来日したルーニーにインタビューをしたことがあるのですが、その時に「こうなりたいという目標はなく、なりゆくままに身を任せて女優業を楽しみたい」とおっしゃっていたのが印象に残っています。本作では大女優ケイトに引けを取らない演技で、着実にキャリアを積んでいますね。『ドラゴン・タトゥーの女』の続編にも続投することが決まっているので、こちらも楽しみです。

本作同様、賞レースを総ナメしていて、同じような苦悩を描くラブ・ストーリーで『ブロークバック・マウンテン』(2005)が挙げられますが、私は『キャロル』のエンディングのほうが好きなんですよね。皆さんはどう感じるのでしょうか? 劇場でこの世界観と結末に浸ってみてください。

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キャロル
2月11日(木・祝)全国ロードショー
http://carol-movie.com/
(C)NUMBER 9 FILMS (CAROL) LIMITED / CHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATION 2014 ALL RIGHTS RESERVED

フリーランス エディター・ライター國方 麻紀(くにかたまき)
香川・丸亀出身、東京・吉祥寺在住のエディター・ライター。
女性誌『ELLE JAPON』『VOGUE JAPAN』のウェブエディター、ウェブサイト「GLAM」「tend」「BRASH」統括編集長を経て、現在はフリーランスに。好きな映画のジャンルは、バイオレンスや時代劇、B級など。
「このコラムを読んで普段観ないようなジャンルの映画にも興味を持ってもらえたらうれしいです!」
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