CheRish Brun.|チェリッシュブラン

私のごきげんな毎日

秋の夜長に、香りが恋しくなるのは何故か

魔法の香り手帖
セルジュ・ルタンス ポワーブルノワール

夏の名残が強い9月と違い、10月~11月にかけては秋の本番だ。夕暮れの時間はどんどん早まり、急に物寂しさを感じたりする。世界には、一年を通して暑い国や寒い国があるが、日本には四季があり、また湿度もかなりアップダウンを繰り返す。日本の夏は暑く、じめじめと湿気があり、強い香りが苦手な日本人にとってはより匂いを強く感じやすく、濃厚な香りを避けてしまう傾向にある。夏に濃厚な香りを使いこなせるのは上級者くらいで、大半はフレッシュな香りが支持されてきたが、日本の香り偏差値は年々上昇傾向であり、今後はまた変化が訪れるかもしれない。

夏とは変わり、秋は香水が欲しくなる季節だ。香水は「つける」、「のせる」、「まとう」などの言葉が使われるが、「香水をまとう(纏う)」は英語で、「wear a scent」や「wear perfume」と書く。秋口に肌寒さを感じて、カーディガンやトレンチを一枚羽織りたくなったら、香りも「WEAR」しよう。肌寒さ、一瞬のひんやりとした空気、生まれ変わりに向けてフィナーレを迎える樹木、早く訪れる夕暮れ、夜を長く感じる感覚…、それらすべてがどこか寂しさをはらんでいる。一人でいても、何人でいても、その寂しさから人は逃れられない。秋の魔力は強大だ。

森

その寂しさを緩やかに、温かいものに変える魔法の1つが香水だ。だから秋の夜長には、香りが恋しくなるのに違いない。そんな夜は、力強い安らぎの香りにいだかれてはいかがか。スパイシーなブラックペッパーに、シダーウッドとナツメグのスパイシーウッディーな香りは、セルジュ・ルタンスの「ポワーブルノワール」。モダンなブラックペッパーには、過度なデコラティブなど不要。アールデコにミニマルな美意識が投影された、すっきりとした美しいラインの入ったボトルは耽美な佇まいで好ましい。秋の夜長にそっと背後から、寂しさを覆い包んでくれるだろう。

セルジュ・ルタンス ポワーブルノワール

【掲載商品】
■セルジュ・ルタンス
「ポワーブルノワール」
(50mL ¥14,300)
https://www.sergelutens.jp/

美容ジャーナリスト香水ジャーナリストYUKIRIN
ナチュラルコスメとフレグランスのエキスパートとして、
「香りで選ぶナチュラルスキンケア」や、「香りとメイクのコーディネート」など提案する他、香りから着想される短篇小説を連載中。

媒体での執筆・連載の他、化粧品のディレクション、イベントプロデュース、ブランドコンサルティングなど幅広く活動している。
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