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【20年目の輝き】高山なおみ「日々ごはん」シリーズ最新刊&インタビュー特集

CULTURE&ENT

今年1月27日に発売された高山なおみさんの最新刊、『帰ってきた日々ごはん』。

日々ごはん10

2002年にスタートした日記エッセイ「日々ごはん」シリーズは累計20万部を超え、さらに、2022年にはスタートから20年を迎えました。

CheRish Brun.では、高山なおみさんへのインタビューを交えながら、最新刊『帰ってきた日々ごはん』、そして、「日々ごはん」シリーズをご紹介します。春を楽しむ読書タイムにいかがですか。

高山なおみ
高山なおみさん近影
撮影:枦木功氏
高山 なおみ

料理家、文筆家。

1958年静岡県生まれ。
レストランのシェフを経て、料理家になる。
文章も料理と同じくからだの実感に裏打ちされ、多くの人の共感を生む。
2016年、東京・吉祥寺から、神戸へ住まいを移し、一人暮らしをはじめる。
本を読み、自然にふれ、人とつながり、より深くものごとと向き合いながら、創作活動を続ける。
著書に日記エッセイ『日々ごはん』シリーズ、料理本『野菜だより』、『おかずとご飯の本』(以上アノニマ・スタジオ)など、絵本に『みどりのあらし』(岩崎書店、絵・中野真典)、『ふたごのかがみ ピカルとヒカラ』(あかね書房、絵・つよしゆうこ)、『おにぎりをつくる』『みそしるをつくる』(ブロンズ新社、写真・長野陽一)など多数。
近刊は料理本『自炊。何にしようか』(朝日新聞出版)、『本と体』(アノニマ・スタジオ)、『日めくりだより』(扶桑社)など。
公式ホームページアドレス http://www.fukuu.com/

帰ってきた日々ごはん

『帰ってきた日々ごはん』では、2018年7月から12月の日記が収録。
2016年に移り住んだ神戸の土地や人との馴染み、暮らしのリズムができて、ぐんぐんと活動が始まる日々が綴られています。

帰ってきた日々ごはん10

高山なおみさんの日常ごはんの記録や出来事、風景などを収めた恒例の「アルバムページ」。日記を読みながら「この料理はこんな感じかな……」「これはあんな感じかな……」と思いをはせていた料理の、まるで答え合わせのようなページです。

帰ってきた日々ごはん10

こちらも恒例、おまけレシピ。

  • 7月 ハモの照り焼き
  • 8月 皮をむいた茄子のフライ
  • 9月 ポークソテー
  • 10月 蓮根つくね
  • 11月 トマト鍋
  • 12月 白菜入りチャーハン

6品が掲載されています。

アバター
高山さんにとって「料理」とは?
アバター
すべて料理だと思っています。
書くことも、絵本を作ることも、生きることも。
毎日ごはんを作っているんだけど、食べたいものを作って、おいしく出来ない日もある。すごくいっぱい食べてしまう日、それで夜におなかが張っているなあとか、次の日の朝ごはんはパンをやめておこうかなとか、気持ちにも体にも関係している。
そういう全部が料理だなって思います。
高山なおみさんのごはん
ある日のお昼ごはん
撮影:高山なおみさん

そして「日々ごはん」シリーズといえば、毎回、目を引く装丁。『帰ってきた日々ごはん』の装丁は、高山なおみさんと画家の中野真典さんが交わしていた「言葉」と「絵」の交換絵日記から生まれた作品が使用されています。

帰ってきた日々ごはん10
アバター
日々ごはん、帰ってきた日々ごはんシリーズと言えば、毎回装丁がすてきですが、特にお気に入りの装丁、思い出深いものがあれば教えてください。
アバター
それぞれ思い出深いのですが、10巻の装丁は、子どもが描いたような無垢な清らかさがあって、表紙の右側の部分は影があります。背表紙も滲んでいるし、明るいものと濁ったものがあって、直感的に「日々ごはん」の世界を表しているな、と思います。
それから、『帰ってきた日々ごはん』の5巻も「日々ごはん」らしいですね。麺がのびているし、お鍋がへこんでいるし、こういう写真の表紙をみなさんにお届けして大丈夫かな、と最初は葛藤がありました。本になってみたら、なんだか清らかに見えました。おいしそうだし。
日々ごはんシリーズ
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高山なおみさん
「帰ってきた日々ごはん
刊行&日々ごはんシリーズ20周年 特集ページ
https://www.anonima-studio.com/hibigohan-20th-anniv/

20年目を迎えた「日々ごはんシリーズ」

帰ってきた日々ごはん

2002年に『日々ごはん』からスタートした「日々ごはん」シリーズは現在22巻、シリーズ累計20万部越えました。
高山なおみさんファンはもちろん、幅広い読者から支持されている日記エッセイは、日記なので、何巻からでも読み始めることができ、自由に楽しめるのが大きな魅力です。

日々ごはん1
「日々ごはん」シリーズはこの1冊からはじまりました
アバター
20年以上つづけられている「日々ごはん」とは高山さんにとってどんな存在ですか?また、発売から20年目を迎えられたことについて、どう感じられていますか?
アバター
有難いです。嬉しいですし、あっという間でした。
『日々ごはん』は……生きていること。生きている私、です。
『日々ごはん』は12巻で一度お休みしています。そのときは、本を読んでくださる方の本棚が『日々ごはん』でいっぱいになるのが申し訳ないな、という気持ちがあったんです。
その気持ちは今もまったくないわけではないのですが、生き続けているものなんだから仕方ないな、と思うようになりました。
日記を書くことが体に沁み込んでいて、当然のようになっています。日記を書けない日ももちろんありますが、それでいいと思っています。いつも3年後くらいに本になるのです
が、文字組された原稿を読み返していると、その日のことが蘇ってくる。日記に書けなかったことも、ありありと。自分の日記だし、自分のことなんですけど、時間がたつことで、高いところから眺めているような感じ。『日々ごはん』が今のわたしを作ってくれている、と感じます。
日々ごはんシリーズ
アバター
この20年間、高山さんご自身でも、さまざまなことがあったと思います。料理という軸には変わりはありませんが、シェフから料理家、文筆家になったことで、ご自身の中で大きく変わられたことはありましたか?
アバター
シェフのときは自分のお店ではなかったので、シェフを辞めて料理家になって、文を書くようになって、「高山なおみ」という看板で仕事をするようになりました。
自分の体から発する言葉に責任を感じているし、覚悟ももっています。それが楽しみに繋がっている、と感じています。

あわせて読みたい高山なおみさんの著書

新聞や雑誌などで多くの連載を持つ高山なおみさん。ご著書は「日々ごはん」シリーズのみならず、料理書、料理エッセイ、絵本など多岐にわたります。

チクタク食堂

『チクタク食堂(上)』
高山なおみさんが、家でのごはんを写真とメモで全て記録した、とてつもない一冊ができました。すべてありのままに記された食卓は、インスタントを食べる日だってあるし、変な組み合わせの日も、体調が悪くてつくれない日もある。でも、日々のごはんは毎日続き、高山さんは毎日記録をつづけます。おいしくできた料理には「作り方メモ」をつけ、季節の保存食の作り方も掲載。日記エッセイ『日々ごはん』6、7巻にも対応。

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『チクタク食堂(下)』
高山なおみさんによる、一年分の壮大な家での食卓記録、下巻。7月から翌年1月まで半年分の写真とメモに、おいしくできた料理には「作り方メモ」つき。体調不良の日も、出前のお寿司の日も、残り物の使いまわしも、そのままに載っています。今日の献立の参考として気ままにめくっても、じっくり読みこんで想像を膨らませても味わえます。下巻にはお正月料理の作り方も掲載。日記エッセイ『日々ごはん』7、8巻にも対応しています。

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本と体 高山なおみ

『本と体』
自他ともに認める読書家の高山さんは食べるように本を読みます。2016年~2017年に掲載された読売新聞の本の連載を中心にした26冊の感想文と、「ことば」をめぐる対談3本(2019年に実施)を収録した、「本」と「ことば」をじっくりと深めて感じる一冊です。紹介される本は、その日、その時に著者に響いた本。そのほか、絵本編集者(筒井大介氏)、写真家(齋藤陽道氏)、画家(中野真典氏)と著者の対談を収録している。

近年は絵本や料理本の制作や、暮らしぶりがテレビで紹介されて話題になりました。

アバター
高山さんのこれからの夢を教えてください。
アバター
これはきっと、かなわないだろうな…と思っている夢なんですけど、いつか自分で絵本を描けるようになりたいです。おはなしだけではなくて、絵も描きたい。ふたつでひとつになるような世界……。

あらためて「帰ってきた日々ごはん⑩」

『帰ってきた日々ごはん』を読みながら「暮らしって愛おしいな」と改めて思いました。

『帰ってきた日々ごはん』を読んでいると、ゆらゆらとシーツのスクリーンに映し出されるかのように、高山なおみさんの暮らしをぼんやりと想像してしまいます。実際には大変だと思いつつも、「坂の上にある家ってなんだか良いな」と思ったり、海を見渡せる部屋を想像してみたり、「私も旬の食材を使ってシンプルにお料理がしたいな」と思ったり。

そのうち、自分がしている、暮らしの1つ1つの動作がとても愛おしく思えてきました。
紅茶を飲むためのお湯を沸かすこと、お気に入りのお皿に料理を盛り付けること、洗濯物をたたむことさえも。そして、誰かのためではなく自分のために日記を書きはじめようかな……とさえも。

高山なおみさんのご自宅
朝の窓辺
撮影:高山なおみさん
アバター
高山さんが日々の暮らしの中で、心地よく過ごすために意識していること、大切にしていることを教えてください。
アバター
ひとりの時間を大切にしています。わたしには、隙間がとっても必要です。窓をあけて空や海の様子を見たり、本を読んだりほとんどの時間をひとりで過ごしているので、隙間だらけ。ひとりでいるといろんなことを想像する。離れて、ぼんやり考えると、もっとわかったり、見えないものが見えたりする。そうすると胸があったかくなってきて……そういうことを大切にしたいなと思います。

インタビュー協力:村上妃佐子(アノニマ・スタジオ)

CheRish Brun.編集長小路桃子(しょうじももこ)
1975年10月生まれ。
自由学園女子最高学部を卒業後、鹿島建設に就職。
2005年もっと女性が活躍できる場で働きたいと思い、GMOインターネットに転職。
女性向けブログサービスヤプログ!で、コンテンツ企画・著名人ブログを担当。
映画、美容、レシピコンテンツなどオリジナル企画のほか、各メーカーとのコラボ企画を多数実施する。

2013年に思わぬ転機が訪れ退職。
退職2ヶ月後の2013年7月17日に大人女子を楽しむWebマガジンCheRish(現:CheRish Brun.)を立ち上げる。
その傍ら、母であるスーパー主婦足立洋子の専属フードスタイリスト、ワークユニットJIYU5074LABO.のメンバーとしてレシピ本の出版・イベント企画。
現在は、楽しいを仕事にするユニットchouette.に所属し、企業のブランディング、動画制作などを行っている。
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