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私のごきげんな毎日を送るライフスタイルマガジン

香りで旅に出る理由

魔法の香り手帖
メゾン ルイ=マリー No.9 ヴァレ ドゥ フェルネ

「神はモーリシャスを最初に創り、そしてモーリシャスを真似て天国を創った」と、マーク・トゥエインは言葉を遺した。海流と珊瑚礁が作り出した自然現象である海中の滝、火山の噴火によって地層が変化したことによって大地が七色に見えるシャマレル、世界遺産のルモーン山…。想像を超えた景色を、私はコンクリートの箱の中から想像する。

私たちは旅へ出るという自由を奪われ、復活したとしても以前のような気軽さが戻るには長く時間がかかるだろう。時間がかかっても戻るならいい方だと、思わずにいられない。居住地から遠い国ほど、より遠く感じてしまうようになった途方の無さ。

現実にそこへ行けなくとも「想像」することは意外と簡単だ。写真を観たり、現地の人とオンラインで話したり、異国の食べ物を取り寄せることもできるし、現代の技術ならその場にいるような映像体験も可能かもしれない。でも一番違うのは「空気感」ではないだろうか。港町に吹く潮風、原生林から漂う植物の生気(エナジー)、4kmも続くビーチのサラサラとこぼれる白砂の質感。それらの空気感までもを想像するには、視覚や聴覚、味覚に加え、「嗅覚」が不可欠だと私は思う。

幸運にも、嗅覚から旅先を想像させてくれるフレグランスが、たくさんある。メジャーな土地から、マニアックな土地まで。実際に行くこともあるかもしれないし、一生無いかもしれない。行くことが難しい時期からこそ、まずは想像で楽しんでみる。日本人旅行者は比較的少ないというモーリシャス島は、ドバイ経由で日本から17時間(乗り換え時間を含まなくても)かかるらしい。インド洋の貴婦人は、そう容易く目の前に現れてくれないのだ。

フランス植物学の父として歴史に名を刻む偉人ルイ=マリーは、フランス革命時の亡命先で、2,000種以上の新種の植物を発見した。私は、ルイ=マリーになったつもりでモーリシャス島へ行ってみる。そこに広がる手つかずの原生林の中、見たことも無い動植物がいきいきと生息し、私は高揚しながら植物標本にすべき植物を発見する。メゾン ルイ=マリーの「No.9 ヴァレ ドゥ フェルネ」の香りで、そんな光景へ想像を広げる。

旅を想像する。
土地を想像する。
そのレベルを超えて、私は空気感を想像したい。
それが、香りで旅に出る理由。

メゾン ルイ=マリー No.9 ヴァレ ドゥ フェルネ

【掲載商品】
■メゾン ルイ マリー
「No.9 ヴァレ ドゥ フェルネ」
50mL ¥14,850
BIOTOPE INC.
Tel.03-6427-6424
https://noseshop.jp/

美容ジャーナリスト香水ジャーナリストYUKIRIN
ナチュラルコスメとフレグランスのエキスパートとして、
「香りで選ぶナチュラルスキンケア」や、「香りとメイクのコーディネート」など提案する他、香りから着想される短篇小説を連載中。

媒体での執筆・連載の他、化粧品のディレクション、イベントプロデュース、ブランドコンサルティングなど幅広く活動している。
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