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私のごきげんな毎日

ニース、ヴィシー、コルドゥアン灯台、カルパティア山脈が世界遺産に!

おフランスかぶれのうたかたの日々

2021年7月16日~31日まで開催された第44回世界遺産委員会。
日本でも奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島が登録されたことで話題になりましたが、フランスでは、ニース、ヴィシー、コルドゥアン灯台、カルパティア山脈と4つの案件があらたに世界遺産登録を受けました。

フランス ニース

これによりフランスの世界遺産登録件数は、文化遺産42、自然遺産6、複合遺産1、計49件となりました。

リヴィエラの冬季保養都市、ニース

フランス ニース

こちらの連載でも何回かご紹介してきた、南フランス・コートダジュールの地中海都市、ニース。
イタリアとの国境近くに位置するニースは、温暖な気候とアルプスの麓の海辺に位置するという立地条件から、18世紀以降、冬季の保養地として発展しました。
観光のために形成され発展した都市ニースは、その独自の歴史、観光都市としての成り立ちに「例外的な普遍的価値」が認められ、ユネスコ世界遺産に登録されました。

18世紀半ば以降、ニースにはイギリス人を中心とした貴族や上流階級の家族が好んで訪れ、冬を過ごすのが習慣となっていました。
1832年、当時サヴォワ領の一部であったニースは、外国人にとって魅力的な街にするため、規制付きの都市計画を採用しました。
その後まもなく、海辺に沿った幅2メートルのささやかな小道が1860年にフランスに割譲されてから、格調高い遊歩道プロムナード・デ・ザングレ(Promenade des Anglais)に生まれ変わっています。
20世紀になるとロシアをはじめとする他国からも越冬者が増加し、中世の旧市街に加えて新しい地区が次々と開発されました。
このように、越冬者たちが持ち込んだ多様な文化的影響や、土地の気候や景観を最大限に活用しようとする意欲が、これらの地区の多彩な都市計画や建築様式を形成し、国際色豊かな冬季保養地としてのニースの評価を高めていったのでした。

フランス ニース

私が前回ニースを旅した時は12月後半でしたが、昼間はコートが要らないほどにあたたかく過ごしやすかったです。ヤシの木とモミの木が同居するちょっと不思議な感覚のクリスマスマーケットも楽しめました。
喧騒も少ない中で、波の音を聴きながらゆっくりとした時間を過ごすことができ、おすすめです。冬季のニースは、夏季のピーク時と比べると観光客も少ないのですが、世界遺産登録で冬季も観光客増えそうですね!

ヴィシー、ヨーロッパの偉大な温泉都市

欧州7か国にある11の温泉都市が、1700年から1930年代にかけて興隆した欧州の湯治文化からなる都市づくりを証明する例として世界遺産に登録されました。
フランス中部、オーヴェルニュ・ローヌ・アルプ地方のヴィシーが11都市のひとつとして登録されています。

「水を摂取する」という行為に医療、屋外での運動、レジャーが組み合わさったこと、またそれが温泉医学、バルネオテラピー、レジャー活動に多大な影響を与えたことが、「ヨーロッパの温泉保養地の普遍的価値」として世界遺産委員会に認められ、登録に至りました。

フランス ヴィシー
© Cindy MICHAUD, Xavier Thomas (Vichy Destinations)

温泉保養都市として有名なヴィシーは、19世紀から20世紀初頭にかけてヨーロッパの温泉文化の創造に大きく貢献しています。
アリエ川右岸の平野部に開かれた都市は、パリの都市計画の原則と、街の中に温泉の遊歩道を組み合わせる形でできています。ナポレオン3世が公園や大通りを備えた新しい温泉街の建設を奨励し、大規模な温泉施設、屋根付きの遊歩道で結ばれたカフェやカジノ、劇場、ホテル、別荘などを備えるコスモポリタンな「小パリ」が作られました。

フランス ヴィシー
© Cindy MICHAUD, Xavier Thomas (Vichy Destinations)

コルドゥアン灯台

コルドゥアン灯台は、大西洋、ジロンド川河口にある浅い岩盤の上に建ち、危険で近寄り難い場所にあります。16世紀末から17世紀初頭にかけ、白い石灰石のブロックで作られたこの建物はルイ・ド・フォワが設計し、18世紀末にトゥエールによって再設計されました。

海上標識の傑作であるコルドゥアン灯台はピラスター、円柱、円柱、軒持送り(モディリオン)、ガーゴイルなどで装飾されが見事なモニュメントです。

フランス コルドゥアン灯台
© David Remazeilles (Gironde Tourisme)

コルドゥアン灯台には、灯台の建築と技術についての歴史上の主要な段階が刻まれています。灯台が領土の目印や安全装置として重要な役割を担っていた航海の発展期における灯台建設の技術を現代に伝えています。また、18世紀末に行われた嵩上げと灯ろう部分への変更は当時の科学技術の進歩を物語っています。
その建築形態は、古代様式やルネッサンス期のマニエリスム、またフランスの技術者養成機関である土木技術学校の独特の建築様式の影響を受けています。

フランス コルドゥアン灯台
© David Remazeilles (Gironde Tourisme)

カルパティア山脈とヨーロッパ各地の古代及び原生ブナ林

シャピトル・プティ・ビュエッシュ(オット・ザルプ県)、グラン・ヴァントロン(ヴォージュ県とオー・ラン県)、マサヌ(ピレネー・オリエンタル県)の自然保護区。
2007年の登録後、2011年、2017年、2021年に拡張登録され、ヨーロッパ18か国・94か所に及ぶ案件です。
フランスは2021年に上記4つの自然保護区が追加登録されています。

フランスでは8月9日から新型コロナウイルスのワクチン接種を証明する「衛生パス」(pass sanitaire)の義務化が始まります。
「自由な権利へのの侵害だ」とフランス各地でデモが繰り広げられていますが、これがないと鉄道での移動や、美術館など文化施設への入館、カフェ・レストランの利用などもできません。

日本の感染者数も増加していますので、自由にフランスを旅行するのはまだもう少し先のことになります。
行きたいデスティネーションのリストばかりが増えていきますが、あと少し、首を長くして待ちましょう。

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