『殺人の追憶』(2003)『グエムル-漢江の怪物-』(2006)『母なる証明』(2009)の韓国のポン・ジュノ監督がまたやってくれました! 今回紹介する『パラサイト 半地下の家族』は、クリーチャー映画でもSF映画でもなく、現実世界に生きる家族が、他人と争わずに共生したいと願っているにも関わらず、上手くいかずに寄生的な関係へと追い込まれる、予測不可能な人間ドラマ。ポン・ジュノ監督曰く「本作は、人々が皆で豊かな人生を送りたいと思っても、それがいかに困難であるかが見えた時に生じる、ユーモア、恐怖、哀しみを描いた悲喜劇」。予想のつかない、でも世界のどこかで起こり得る展開に、驚天動地の衝撃を受けました。
全員失業中、“半地下”住宅で暮らす貧しいキム・ギテク(ソン・ガンホ)一家。長男ギウ(チェ・ウシク)は、ひょんなことから“高台の豪邸”で暮らすIT企業の社長パク・ドンイク(イ・ソンギュン)の家へ家庭教師の面接を受けに行くことになる。思いがけず、高給の就職先を見つけた兄に続き、妹ギジョン(パク・ソダム)も足を踏み入れるが……。この相反するふたつの家族の出会いは、次第に想像を遥かに超える物語へと加速していく。
ポン・ジュノ監督作には、目の離せない衝撃的なユーモアやサスペンス、アクションがありながらも、現代社会に通じるテーマが必ず隠されています。その一方、明るくキャラの濃い登場人物たちの姿に、思わずクスりと笑ってしまうユーモアも。監督と4度目のタッグを組む、韓国の名優ソン・ガンホは本作でも変幻自在な圧巻の演技で物語を牽引しています。毎度のことながら、期待を裏切りません。
今年5月に開催された、第72回カンヌ国際映画祭では、審査員満場一致で最高賞の「パルムドール」に輝いた本作。クエンティン・タランティーノ監督作『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(公開中)やジム・ジャームッシュ監督作『The Dead Don’t Die(原題)』(2020年春公開予定)の話題作を抑え、韓国映画として初の同賞受賞という歴史的快挙を成し遂げました。また、第92回アカデミー賞(R)国際長編映画賞韓国代表にも選出され、受賞が有力視されています。
いま世界が直面している貧富格差への痛烈な批判をも内包した、超一級エンターテインメント『パラサイト 半地下の家族』。スクリーンの前で、喜怒哀楽のすべての感情を揺さぶられてください!
『パラサイト 半地下の家族』
2020年1月10日(金)TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー
http://www.parasite-mv.jp/
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