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ジョーカー

シネマキアート

DCコミックス出版のアメコミ『バットマン』シリーズのスーパーヴィラン「ジョーカー」。緑色のヘアー、真っ白な顔、裂けた口の恐ろしい風貌で、とくに特殊能力がないにも関わらず、カリスマ的人気を誇っています。実写映画では、名優たちがこの役をこぞって不気味に生き生きと演じているのが印象的です。

ジョーカー

実写版初代ジョーカーを演じたのは、テレビシリーズ版と映画『バットマン』(1966)のシーザー・ロメロ。60年代はコメディ路線の作風だったのでユーモアがあるキャラクターとして登場。2代目ジョーカーは、ティム・バートン監督作『バットマン』(1989)のジャック・ニコルソン。私の中では彼が演じたクレイジーなジョーカーのインパクトが大きく、今も心に残っています。3代目ジョーカーは、クリストファー・ノーラン監督作『ダークナイト』(2008)のヒース・レジャー。歴代のジョーカーの中でも評価が高く、シリアスで狂気溢れる新しいジョーカー像を作り上げました。惜しくも映画公開前に急逝し、その後この役でアカデミー賞助演男優賞を受賞。4代目ジョーカーは、『スーサイド・スクワッド』(2016)のジャレッド・レト。先の名優たちのプレッシャーに負けまいとパンクなジョーカーを怪演しました。

ジョーカー

そして、5代目となるジョーカーは、今回紹介する『ジョーカー』でホアキン・フェニックスが演じます。「どんな時も笑顔で、そして人々を楽しませなさい」という母の大切な言葉を胸に、大都会で大道芸人として生きるひとりの孤独な男がどうして<悪のカリスマ>へと変貌したのか……原作の映像化ではなく、完全オリジナル・ストーリーで初めて語られるジョーカー誕生の理由が本作で明らかになります。

ジョーカー

アカデミー賞3度のノミネート経験を持つホアキンは、役作りの一環として20キロ近く減量し、ジョーカーの完璧な狂気に辿り着くまでの過程を熱演しています。また、本作の監督と脚本を務め、過去には『ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』(2009)でゴールデングローブ賞作品賞を受賞したトッド・フィリップスは、ホアキンを念頭に置いて脚本を書き上げたそうで、「これまで描かれてきたジョーカーとは異なるアプローチ」をしたと語っています。

本作は各国の映画祭で続々と評価を受けています。第76回ヴェネツィア国際映画祭コンペティション部門に正式出品され、同部門の最高賞<金獅子賞>を受賞。世界三大映画祭(カンヌ国際映画祭、ベルリン国際映画祭、ヴェネツィア国際映画祭)でアメコミ作品が最高賞を受賞するのは初の快挙で、映画史を大きく塗り替える結果に。また第44回トロント国際映画祭では、今年より制定された傑出した演技を行った俳優に対する功労賞<TIFFトリビュート・アクター・アワード>を受賞。記念スピーチでは、亡き兄リバー・フェニックスに背中を押され、俳優として生きる覚悟を決めたと、目に涙を浮かべて感謝を述べていました(涙)。来年のアカデミー賞では、満を持しての主演男優賞受賞となる予感大です。

ジョーカー

弱者に無関心な社会に見捨てられた男の内面を描くサスペンス・エンターテイメント『ジョーカー』。やがて名優たちが演じた映画史上最も有名なスーパーヴィランの隠された物語に繋がるオリジン・ストーリー。予想もつかない展開で観る者の心を掴んで離さない、切ない衝撃の真実とは?

ジョーカー

ジョーカー

10月4日(金)全国ロードショー
http://wwws.warnerbros.co.jp/jokermovie/
(C) 2019 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & (C) DC Comics

フリーランス エディター・ライター國方 麻紀(くにかたまき)
香川・丸亀出身、東京・吉祥寺在住のエディター・ライター。
女性誌『ELLE JAPON』『VOGUE JAPAN』のウェブエディター、ウェブサイト「GLAM」「tend」「BRASH」統括編集長を経て、現在はフリーランスに。好きな映画のジャンルは、バイオレンスや時代劇、B級など。
「このコラムを読んで普段観ないようなジャンルの映画にも興味を持ってもらえたらうれしいです!」
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