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スノー・ロワイヤル

シネマキアート
スノー・ロワイヤル リーアム・ニーソン

20年くらい前からリーアム・ニーソン主演映画は、どんなものでも観る癖がついているので、今回紹介するクライム映画『スノー・ロワイヤル』も当たり前のようにマストウォッチリストに入れていました。その上、本作ではリーアムが実子マイケル・リチャードソンと初の親子共演を果たしていることや、“『ファーゴ』のキレ味とセンスあり!”だとか、“タランティーノが『96時間』を撮ったらこうなる!”だとかのレビューを目にして、心待ちにしていました。(『ファーゴ』(1996)は、コーエン兄弟がメガホンをとった、ブラックユーモアが冴えまくる名作サスペンス映画で、『96時間』(2008)は、1秒も無駄なシーンがないリーアム主演の名作アクション映画です!)

スノー・ロワイヤル リーアム・ニーソン

雪の町キーホーで模範市民賞を受賞するほどの除雪作業員ネルズ・コックスマン(リーアム・ニーソン)。ある日、一人息子が地元の麻薬組織に殺されてしまう。マフィアの存在に気付いたネルズは復讐を開始。彼は闇のキャリアで身に付けた特殊なスキルではなく、除雪作業で身に付けた土地勘と体力と犯罪小説で続んだ知識で一人また一人と敵を追い詰めていく。

スノー・ロワイヤル トム・ベイトマン

しかし、敵対する麻薬組織の仕業と勘違いした彼らはその組織を襲撃。相手もその報復に出る。静かな田舎町で起きた久々の事件に、地元警察はテンション上がりっぱなしで捜査に乗り出す。ネルズの戦いは、全てを巻き込みながら全く思いもよらない方向へと進んでいくのだった……。

スノー・ロワイヤル トム・ジャクソン

いつものキレたリーアムの復讐劇かと思いきや……勘違いが勘違いを呼び、気づけば曲者だらけの四つ巴の戦いへと発展する先の読めないストーリー。なるほど! 雪景色のなかで繰り広げられるブラックユーモア満載の内容や、ウィットと深みに富むダイアログに言及して、先述のようにコーエン兄弟やタランティーノ作品と比較されていたのも納得です。主人公やギャングら男たちがドンパチしている最中、主人公の妻役のローラ・ダーン、女性警官役のエミー・ロッサム、麻薬王の元妻役ジュリア・ジョーンズら3名の女たちは賢く男たちから距離を置くことで事態をコントロールしようとするのもリアリティがあって面白い。テンポ良く話が進むにつれて、緊張が崩壊するようにクスッと笑えるシーンも見どころです。

スノー・ロワイヤル ローラ・ダーン

米大手映画レビューサイト「Rotten Tomates」では、これまでのリーアム主演のアクション・サスペンスの作品の中で最も高い評価を得ている『スノー・ロワイヤル』。リーアムが新たに挑むクライムは、“最強復讐親父”の固定観念を完全に覆す意欲作となっています。ラストシーンにも一笑が用意されているので、最後までお見逃しなく!

スノー・ロワイヤル

スノー・ロワイヤル
6月7日(金)全国ロードショー
https://snowroyale.jp/
(C)2019 STUDIOCANAL SAS ALL RIGHTS RESERVED.

フリーランス エディター・ライター國方 麻紀(くにかたまき)
香川・丸亀出身、東京・吉祥寺在住のエディター・ライター。
女性誌『ELLE JAPON』『VOGUE JAPAN』のウェブエディター、ウェブサイト「GLAM」「tend」「BRASH」統括編集長を経て、現在はフリーランスに。好きな映画のジャンルは、バイオレンスや時代劇、B級など。
「このコラムを読んで普段観ないようなジャンルの映画にも興味を持ってもらえたらうれしいです!」
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