明日、4月9日から全国公開となる『モヒカン故郷に帰る』。
『南極料理人』、『横道世之介』の沖田修一監督のオリジナル作品。数年ぶりに故郷に帰った売れないバンドマンが余命わずかの父親のために、家族と一緒に奮闘する物語だ。
夢を諦めきれないバンドマンを演じるのは松田龍平。余命わずかな父親を演じるのは柄本明。さらには前田敦子、もたいまさこ、千葉雄大が脇を固める。
ハートフルで笑いのある映画を得意とする沖田監督に本作についてうかがった。
その場所やその時の感じでもっと面白いものが作られる
–本作は沖田監督のオリジナルですが、原作があるものとオリジナルのものとではどちらが作りやすいのでしょうか?
オリジナルのものは、発想の段階から自分のものなので最終的にどう仕上がるかという楽しみはありますね。でも、結局のところ、原作があるものも台本を書いてから撮るので、最終的にはどちらも同じ。面白いですよね。
ぜったいにオリジナルでやりたいってことは考えてないですね。
–作品を作る上で、最初にイメージしていたものと最終的に出来上がるもの違うものなんでしょうか?
どの作品も全然違うところに着地しますね。イメージしていたそのものができた!ってことはまずないと思うんです。イメージ通りうまくいったなと思うこともあれば、ここはこんなに面白くなるとは思わなかったというところもあるし。逆に、面白いと思ったのに全然面白くなかった・・・なんてこともあります。
映画を作るうえでは、そんなことの連続ですね。
–では、本作で最初のイメージから大きく変わったところはありましたか?
吹奏楽部の子たちが鳴らす音をイメージできなかったので、実際に聞いた時に「なるほど」って思いました。
永吉と治の掛け合いや距離感の面白さは自分が考えていたよりも、ちょっとしたことでも面白くなっていました。ぼくは劇中のお墓参りに行くシーンが好きなんです。すごい段数の階段を上るシーンなんですが、脚本には途中で中座するというカットはなかったんです。撮っている最中に「こんなに長い階段上れないよね」ということになって、休み休み行くという設定にしたんです。そしたらそのシーンが意外といい絵になった。その場所やその時の感じでもっと面白かったりよいものが作られるんだなって思いますね。