Bonjour!
はじめまして。おフランスかぶれマダムのnontageです。
フランスにまつわる様々なことを綴っていきます。
どうぞよろしくお願いいたします。
さて、先週末、待ちに待った映画『ムード・インディゴ ~うたかたの日々~』が公開され、もう二回劇場に足を運びました。
『エターナル・サンシャイン』『恋愛睡眠のすすめ』のミシェル・ゴンドリー監督、『PARIS』『ハートブレイカー』のロマン・デュリスと『アメリ』『ココ・アヴァン・シャネル』のオドレイ・トトゥが主演という、ファン垂涎ものの作品。
ゴンドリーらしいファンタジーが散りばめられ、ポップで爽快感のある映像は楽しくて美しい!
『スパニッシュ・アパートメント』の二人が主役というのも嬉しいです。
現在公開されているのはインターナショナル版 (95分)ですが、ディレクターズカット版 (131分)の上映も渋谷・シネマライズ(10月12、26日 20:00の回)、大阪・シネマート心斎橋(10月12~25日 各日一回)であります。
主人公二人の恋愛を中心に描いたインターナショナル版、より原作に忠実に描かれたというディレクターズカット版、どちらもお見逃しなく!
私は1995年に日本でリバイバル上映されたシャルル・ベルモン監督『うたかたの日々』(1968年作)を観て以来、衝撃を受け、ボリス・ヴィアンが1947年に発表した原作の魅力にどっぷりハマった一人です。
ボリスはフランス生まれの作家。
彼の死後、サルトルやボーヴォワール、コクトーにも評価され、若者を中心に支持されます。
彼の一番のヒット作はこの『L’Écume des Jours』、直訳すると『日々の泡』。日本語では両方の訳で出版物があります。
ゴンドリー版のタイトル『ムード・インディゴ』は原作者・ボリス・ヴィアンのヒット曲からつけられています(アメリカでは『うたかたの日々』は『Mood Indigo』と翻訳されることもあります)。
そう、彼は作家だけでなく、ジャズ・トランぺッターとしての顔ももつのです。
パリのサン・ジェルマン・デ・プレのクラブで演奏、レコードも何枚も出しています。
あのセルジュ・ゲンスブールが作曲を始めたきっかけはボリスとの出会いから、というのも有名な話。
音楽と恋愛を信奉する彼の文章は、すごくシンプルだけれども想像力がどこまでも膨らむような感覚が得られるのです。
様々な色彩が脳裏を巡るのに、透明感に包まれた世界観。1920年代の作品でも今なお色褪せません。
『うたかたの日々』は、非情な現実のなかで生きる苦難を辛辣に描いた、泡のように儚い恋愛小説。主人公二人の純粋な描写が心に響き、「肺に睡蓮が咲く」病の如く苦しく、涙なしでは読破できない一冊です。
では最後に、『うたかたの日々』のまえがきから、大好きな言葉を。
Il y a seulement deux choses: c’est l’amour, de toutes les façons, avec des jolies filles, et la musique de La Nouvelle-Orléans ou de Duke Ellington.
Le reste devrait disparaître, car le reste est laid…
大切なことはふたつだけ。それは綺麗な女の子との恋愛、そしてニューオリンズ、つまりはデューク・エリントンの音楽。
それ以外はすべて消えてしまえばいい。ただ、ただ醜いだけなのだから…