前回の記事で、パリのメトロの切符が消えゆく運命にあることをご紹介しました。
治安に問題はあるものの、私はパリのメトロが大好きです。
「ドアに指を挟まれないようにね!」という注意書きに登場するメトロのイメージキャラクターのうさぎ君(「セルジュ」という名前がついています)も、薄汚れた感じも、レバーをぐいっと上げて開くドアも、全部ひっくるめて愛おしい。
パリの空港に着き、宿に荷物を置いて、身軽になってメトロに乗った瞬間に
「ああ、パリに帰ってきた!」
という実感が湧くんです。
メトロの改札口のことを「le tourniquet」(トゥルニケ)と言います。
いつもどおり入ろうとすると、背後から嫌な気配がすることがあります。
改札口でスリよりも多いのが、キセルする人。
他人が改札を通るタイミングを見計らって、このトゥルニケを飛び越えるのです。
「襲われる!」と恐怖を感じるくらいにアクロバティックな動きをしてくるので、何度遭遇しても心臓がバクバクするくらいに驚いてしまいます。
故・ジャック・シラク大統領がそのアクションをする記事、フランス語なのですが、写真だけでも面白いので見てみてください。
Jacques Chirac enjambant le tourniquet du métro(フランス語記事・メトロの改札を飛び越えるジャック・シラク氏)
改札口のキセルはまだまだなくなりそうにありませんが、最近ではパリのメトロもどんどん近代化が進んでいて、自動運転の路線が増えて様変わりしています。
その中でもまだ変わらない、私の一番好きなパリのメトロの駅は、6号線のパッシー駅。
この記事の一番上の写真のように、エッフェル塔のすぐ近くのビル・アケム橋の上を通ります。
私個人的に世界一の車窓と思っているのです。
エッフェル塔がこんなにも綺麗に見える路線は、パリの中でもパッシー駅からビル・アケム橋の区間だけ。
東京や大阪の地下鉄でも路線によっては地上駅が存在するように、パリにも地上を走る路線がこの6号線以外にもあります。
日中の、人の少ない時間帯であれば2号線もおすすめなのですが、いかんせんパリの中でも極度に治安の悪い地区を通るのでご注意を。
↓こちらの動画は人が全然乗っていない車両で撮りました。快晴に恵まれていて治安も悪くなさそうな錯覚に陥りますが、パリ在住の人でも避けて通るような駅もあります。
パリは駅それぞれに表情が違うのも見ていて楽しいポイント。
ただ、どこの地域でもスリが潜んでいますので写真を撮るときも注意が必要です。
シャンゼリゼ通りとモンテーニュ通りが交わるところにあるフランクラン・D・ルーズヴェルト駅。
9号線の、機関車が通るようなレトロな内装が好きです。
ルーヴル美術館駅に直結するルーヴル=リヴォリ駅は、もう駅構内から美術館が始まっているよう!
壁一面に広がる広告も、目にとまるデザインが多いので無視できません。
旅行前に調べられなかった展示会やセールの情報など、旅の途中の情報収集ツールでもあります。
内装もそうなのですが、入り口の案内板も駅ごとに違うので、次回メトロに乗るときはどのパターンか毎回気にしてみても面白いと思います。
リアルな情報を再びお届けできる日も近いと思いますが、二回にわけてパリのメトロの記事を書いて、今まで以上にパリに行きたい病気が重症化しております…!