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【MOVIE】『ドリス・ヴァン・ノッテン ファブリックと花を愛する男』『 マノロ・ブラニク トカゲに靴を作った少年』

『ドリス・ヴァン・ノッテン ファブリックと花を愛する男』『 マノロ・ブラニク トカゲに靴を作った少年』

今回は私の大好きなデザイナーふたりのドキュメンタリー映画を紹介したいと思います。ベルギー出身のファッションデザイナー、ドリス・ヴァン・ノッテンの『ドリス・ヴァン・ノッテン ファブリックと花を愛する男』と、スペイン出身のシューズデザイナー、マノロ・ブラニクの『マノロ・ブラニク トカゲに靴を作った少年』です。両作品に共通して言えることは、派手なファッション映画ではなく、アーティストの人間性や仕事への情熱に迫った内容で、主人公は花を愛するチャーミングな男性ということ。彼らのライフスタイルを垣間見て、ますます好きになりました。

ドリス・ヴァン・ノッテン ファブリックと花を愛する男

まずは『ドリス・ヴァン・ノッテン ファブリックと花を愛する男』。ファッションショー直後にはジェーン・バーキンやカニエ・ウェストが駆けつけ褒め称え、御歳96のファッションアイコン、アイリス・アプフェルや辛口のファッション・ジャーナリスト、スージー・メンケスも絶賛するファッションブランド「ドリス ヴァン ノッテン」。かく言う私も大ファンで、我が家には年々ドリス先生のアイテムが増えています。“ドリス ヴァン ノッテン=花のモチーフ”というイメージですが、色や柄、合せ方によっては可愛すぎたり、派手すぎたりする花柄を、ドリス先生はメンズもレディースもそれはそれはエレガントな花を咲かせています。チェックやレオパード柄と組み合わせてもがちゃがちゃにならず上品に見えるから不思議!

ドリス・ヴァン・ノッテン ファブリックと花を愛する男

本作では、そんなドリス先生の2015SSレディース・コレクションの舞台裏から、念願のパリ・オペラ座で発表した2016/17AWメンズ・コレクションの本番直後までの1年間に密着しています。ドリス先生自身が過去のコレクションのテーマや思い出を解説するシーンや、世界中に発注した生地サンプルが並べられたアトリエで仕事をするシーンなど、ファン垂涎ですよ。

ドリス・ヴァン・ノッテン ファブリックと花を愛する男

またドリス先生の創作活動を支えるインスピレーションの源のひとつが、28年連れ添うパートナーのパトリック・ファンヘルーヴェと暮らすアントワープ郊外の邸宅。これまでプライベートや自宅の公開を拒否してきたドリス先生ですが、本作ではそのサンクチュアリにカメラが初潜入しています。広大な庭園を自らが案内し、そこで摘んできた花を素敵な花瓶に活けたり、育てた野菜を手際よく調理する貴重な映像も収められています。ドリス先生も庭や家を歩き回っているシーンがとくにお気に入りとか。デビュー以来、多種多様な花のモチーフを使ってきたドリス先生にとって、この庭園がコレクションに大きな影響を及ぼしているんでしょうね。美しいものを愛するドリス・ヴァン・ノッテンの哲学と意外な素顔がここに!

マノロ・ブラニク トカゲに靴を作った少年

そして『マノロ・ブラニク トカゲに靴を作った少年』でも、ガーデニングをこよなく愛するマノロ先生のプライベートに迫っています。1970年代初期にロンドンにショップをオープンさせて以来、その構築的で美しいハイヒールが、多くのセレブやファッショニスタから熱狂的に支持されてきたシューズブランド「マノロ ブラニク」。マドンナの発言「マノロの靴はセックスよりも良い」で話題になり、米版VOGUEの編集長アナ・ウィンターには「もう他の人の靴は履かない」と言わしめ、米ドラマ「セックス・アンド・シティ」の主人公キャリーが愛してやまない靴として爆発的な人気に。加熱するブームを尻目に御歳75のマノロ先生は「今でもアトリエで過ごす時間が人生の喜びだ」と語り、商業的に拡大せずイタリア・ミラノのアトリエで職人たちとハンドメイドで制作することにこだわり続けています。

本作では“世界で唯一走れるピンヒール”と言われるシューズが生みだされるアトリエから、故郷スペイン・カナリア諸島の私邸、イギリス・バースの閑静な自宅、そしてそこに保存された30000点に及ぶアイテムのアーカイブにまでカメラは切り込んでいます。ちなみに「トカゲに靴を作った少年」という映画タイトルは、マノロ先生の少年時代のエピソードに由来。かつてカナリア諸島の庭園を駆け回り、チョコレートの包み紙でトカゲのために靴を作ることに熱中していたようです。また一番最初に触った生物が花で、自然と植物を愛でる眼差しが、デザインの源になっているとか。

マノロ・ブラニク トカゲに靴を作った少年

世界中の女性を夢中にさせる“魔法のシューズ”を作り出すマノロ先生。ブランドを愛用するリアーナや、古くからの友人であり、ティファニーのジュエリーデザイナーとして活躍する画家ピカソの娘パロマ・ピカソらプライベートでも交流がある女性たちが語る、アイロニカルでユーモアあふれるマノロ・ブラニクの素顔はとってもチャーミングでした!

このふたりのアーティストの揺るぎない信念と美しい生活に触れて、年末年始は感性を高めてみてはいかがですか?


『ドリス・ヴァン・ノッテン ファブリックと花を愛する男』
2018年1月13日(土)ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー
http://dries-movie.com/
(C) 2016 Reiner Holxemer Film – RTBF – Aminata bvba – BR – ARTE


『マノロ・ブラニク トカゲに靴を作った少年』
2017年12月23日(土・祝)新宿ピカデリー、Bunkamuraル・シネマほか全国ロードショー
http://manolo-tokage.com/
(C)HEELS ON FIRE LTD 2017

著者プロフィール

國方 麻紀(くにかたまき)
國方 麻紀(くにかたまき)エディター・ライター
香川・丸亀出身、東京・吉祥寺在住のアラフォーのエディター・ライター。
女性誌『ELLE JAPON』『VOGUE JAPAN』のウェブ・エディターを経て、現在はフリーに。
好きな映画のジャンルは、バイオレンスや時代劇、B級など。
「このコラムを読んで普段観ないようなジャンルの映画にも興味を持ってもらえたらうれしいです!」

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