私が観る映画を決める優先順位は、①監督、②ジャンル×気分、③俳優です。今回紹介する映画『ナイトメア・アリー』は、①ギレルモ・デル・トロ、②サスペンス・スリラー、③大好きなトニ・コレットとウィレム・デフォーが出ているなら間違いない！ということで、私の全嗜好にマッチするので、楽しみにしていました。

究極のファンタジー・ロマンス『シェイプ・オブ・ウォーター』（2017）で作品賞・監督賞を含むアカデミー賞4部門を受賞したギレルモ・デル・トロ監督。現代最高峰の異才が、本作では1946年出版の名作ノワール小説「ナイトメア・アリー 悪夢小路」を題材に、“デル・トロ・ワールド”炸裂の光と闇が交差する、観客を甘美な迷宮へと誘います。

『パンズ・ラビリンス』（2006）や『シェイプ・オブ・ウォーター』といった過去のデル・トロ映画に見られた、神秘的なイメージと徹底的な人間性は保持されているものの、デル・トロ監督は製作スタイルを新たな方向へ進化させたいと強く意識していたと言います。「本作は魔法のような雰囲気はあるが、私の作品の中で初めて特定のジャンルにはめこまない映画。物語は誰もが身近に感じる現実の中に設定されている」。

ショービジネスでの成功を夢見る野心溢れる青年スタン（ブラッドリー・クーパー）がたどり着いたのは、人間か獣か正体不明な生き物を出し物にする怪しげなカーニバルの一座。そこで読唇術の技を身につけたスタンは、人を惹きつける才能と天性のカリスマ性を武器にトップの興行師（ショーマン）となるが、その先には想像もつかない闇が待ち受けていた……。

ブラッドリー・クーパー、ケイト・ブランシェット、ルーニー・マーラなどオスカー常連の名優に加え、冒頭でお伝えしたように私の贔屓俳優トニ・コレット＆ウィレム・デフォーがいつも通りのミステリアスないぶし銀の演技を魅せています。

デル・トロ監督が創り上げた、世界で最も美しく最も魅惑的な悪夢の小路（ナイトメア・アリー）で過去・未来にわたって繰り広げられる、裏切りと容赦ない因果応報のストーリー。唯一無二の映像体験をぜひ劇場で！

『ナイトメア・アリー』
3月25日（金）より全国公開中
https://searchlightpictures.jp/movie/nightmare_alley.html
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