11月13日に起こったパリ同時多発テロ事件。こんなにも大きな事件にも関わらず、日本のテレビ局の報道の遅さが話題になりました。世界で今一体何が起きているのか? まずは知ることが大事だと改めて感じました。そんな中、今回は多くの人に観て欲しいドキュメンタリー映画『わたしはマララ』を紹介したいと思います。
本作は、昨年ノーベル平和賞の最年少受賞者となった、パキスタン生まれの17歳(当時)の少女マララ・ユスフザイさんの素顔を描いています。女子が学校へ行くことを禁じる武力勢力タリバンを批判するブログを書き、TVのインタビューで抗議する声を上げ続けたために、15歳の時にスクールバスで下校途中に銃撃された衝撃的な事件とともに、マララさんの生い立ちや父親ジアウディンさんがその名に込めた想い、母親トール・ペカイさんの愛情深いサポートなどを知ることができます。
メガホンをとったのは、『不都合な真実』でアカデミー賞長編ドキュメンタリー賞を受賞したデイヴィス・グッゲンハイム監督。 ユスフザイ家に約1年半密着し、叙情的なアプローチを交えて、家族の絆に迫っています。
マララさんといえば、2012年10月9日に頭部に2発の銃弾を受け、意識不明の重体になるも、奇跡的に一命をとりとめ、過酷なリハビリに耐えて、そして2013年7月12日(16歳の誕生日)にニューヨーク国連本部で行ったのあの演説。「One child, one teacher, one book and one pen can change the world. (1人の子供、1人の教師、1冊の本、そして1本のペンが世界を変えるのです)」。
こんな感動的で素晴らしいスピーチができるなんてどれだけ神の子なんだと思いきや、ブラッド・ピットやロジャー・フェデラーが好きで、無邪気に弟たちと遊ぶ普通の女の子なんです。そんな彼女が、なぜ教育のために運動し、どうやって世界を変えようとしているのか? 本作には、今知っておくべき真実があります。
現在イギリスのバーミンガムで暮らし、今年7月にはシリア難民のための女子校をレバノンで開校したマララさん。「帰国すれば殺す」と声明を出すタリバンに対して、「怒りはない」と。ただ「もう一度だけ我が家を見たい」と語る彼女の言葉に私は涙が止まりませんでした。本作を観て、まずはマララさんの挑戦を知り、今自分ができることを考えるきっかけになればと思います。
『わたしはマララ』
12月11日(金)より、TOHOシネマズ みゆき座ほか全国ロードショー
配給:20世紀フォックス映画
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