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私のごきげんな毎日

6才のボクが、大人になるまで。

シネマキアート

先日授賞式が行われた本年度のアカデミー賞では、残念ながらパトリシア・アークエットの助演女優賞の一冠に終わってしまった『6才のボクが、大人になるまで。』。私は会社を退職し海外留学に行く直前に観たということもあり、背中を押された素晴らしい作品です。

6才のボクが、大人になるまで。

去年11月より封切られるやいなや満員御礼が続き、今なお驚異のロングラン上映している本作は、少年メイソン(エラー・コルトレーン)とその家族の変遷の物語を、同じ主要キャストで12年に渡り撮り続けた、超画期的ドラマです。

本作のメガホンをとったリチャード・リンクレイター監督の代表作といえば、ラブストーリー三部作『ビフォア・サンライズ/恋人までの距離』『ビフォア・サンセット』『ビフォア・ミッドナイト』。監督やキャストの経験を盛り込んだウィットに富んだ会話劇で、ロマンチックな出会いからその後のふたりを18年の歳月をかけて描いた傑作です。それを今度は子供の成長過程で描けないかと作ったのが本作。

6才のボクが、大人になるまで。

6歳の少年が両親の離婚や引っ越し、初恋を経て、立派な18歳の青年になるまでを描いています。リンクレイター監督はエラーくん自身の話をストーリーに取り入れ、毎年夏休みに少しずつ撮影したそうです。そして、母親役のパトリシア・アークエット、父親役のイーサン・ホーク、姉役のローレライ・リンクレーター(監督の実の娘)も、12年間それぞれの役の変化と成長を演じきっています。

はっきり言って、そこまでドラマチックな出来事は起こらないのですが、男運はないけれど子供に対する愛情はいつも溢れている母親に私は感情移入してしまい、なんだか子育てを疑似体験した気分になりました。キャストの変更もなく、お蔵入りにならず、よくぞこの壮大な作品を完成させたものです。

6才のボクが、大人になるまで。

人生は長いようで、あっという間。まだご覧になっていない方は、出会いと別れのこの季節に、2時間45分間の長くて短い時間の流れを旅してみては?

6才のボクが、大人になるまで。
全国公開中
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フリーランス エディター・ライター國方 麻紀(くにかたまき)
香川・丸亀出身、東京・吉祥寺在住のエディター・ライター。
女性誌『ELLE JAPON』『VOGUE JAPAN』のウェブエディター、ウェブサイト「GLAM」「tend」「BRASH」統括編集長を経て、現在はフリーランスに。好きな映画のジャンルは、バイオレンスや時代劇、B級など。
「このコラムを読んで普段観ないようなジャンルの映画にも興味を持ってもらえたらうれしいです!」
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