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私のごきげんな毎日

リコリス・ピザ

シネマキアート

最近、“ボーイ・ミーツ・ガール”ものに興味がなくなっていましたが、ポール・トーマス・アンダーソン監督が、70年代のファッションや音楽を再現し、25歳の女性アラナ(三姉妹バンド「ハイム」の三女アラナ・ハイム)と15歳の男子高校生ゲイリー(名優フィリップ・シーモア・ホフマンの息子クーパー・ホフマン)の青春恋模様を描くとなると話は別です。心地よくハマりました。

1970年代、ハリウッド近郊、サンフェルナンド・バレー。高校生のゲイリー・バレンタイン(クーパー・ホフマン)は子役として活躍していた。アラナ・ケイン(アラナ・ハイム)は将来が見えぬまま、カメラマンアシスタントをしていた。ゲイリーは、高校の写真撮影のためにカメラマンアシスタントとしてやってきたアラナに一目惚れする。自信満々のゲイリーをアラナは相手にせず流すが、反発しながらも共に過ごすうちに、ふたりの距離は少しずつ近づいていく。

リコリス・ピザ

『ブギーナイツ』(1997)『マグノリア』(1999)『パンチドランク・ラブ』(2002)『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』(2005)『ザ・マスター』(2012)と数々の名作を世に送り出し続けているポール・トーマス・アンダーソン監督。最新作『リコリス・ピザ』はオリジナル脚本の完成度の高さ、細かな脇役に至るまで行き届いた演出が高く評価され、本年度アカデミー賞作品賞、監督賞、脚本賞の3部門でのノミネートをはじめ、世界中の映画賞を席巻しています。

リコリス・ピザ

ちなみにタイトルになっているものの、一度も登場しない“リコリス・ピザ”とは、70年代に南カリフォルニアで展開していた独立系レコード・ショップ・チェーン店。10代の若者たちがこのショップで初めてレコードを買うのがある種のお決まりパターンと言われるほど、本作の舞台であるサンフェルナンド・バレーのサブカルシーンに不可欠な存在だったそう。

アラナとクーパーのふたりも等身大のチャーミングな演技で、さまざまな映画賞の有望若手賞やブレイクスルー賞総なめし、見事な映画デビューを果たしました。ちなみに、アラナの家族役には、実際の両親と姉2人も出演しているのでご注目を。またアンダーソン監督は、これまでにハイムのミュージック・ビデオを数多く手掛けていて、新曲「ロスト・トラック」もおしゃれです。

そして、共演にはショーン・ペン、トム・ウェイツ、ブラッドリー・クーパー、ベニー・サフディとレジェンドが名を連ね、実在の人物をモデルにしたアクの強いキャラクターを生き生きと演じています。とくに、ブラッドリーが演じた、女優バーブラ・ストライサンドの元恋人の映画プロデューサーがぶっ飛んでいて最高でした!

リコリス・ピザ

散りばめられた70年代のカルチャーと恋の痛みとうれしさに溢れる主人公たちの姿に、誰もが“あの頃の気持ち”と“映画の楽しさ”を思い出さずにいられない『リコリス・ピザ』。アンダーソン監督の魔法がかかったノスタルジックな世界観に酔いしれてみては。

リコリス・ピザ

リコリス・ピザ
7月1日(金)より TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー
https://www.licorice-pizza.jp/
(C) 2021 Metro-Goldwyn-Mayer Pictures Inc. All Rights Reserved.

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