
香りの世界には、ふたつの流れがある。
ひとつは、精油を使って心身を整えるアロマテラピー。
もうひとつは、香りをまとう芸術としてのパフューム。
どちらも「香りを愛する」文化であるはずなのに、このふたつのあいだには、いまだ小さな溝があるように思う。
パフュームという言葉の語源は、ラテン語の “per fumum”──つまり「煙を通して」。
古代、人々は香木を焚き、その煙を神に捧げることで祈りを届けていた。また西洋では、中世から近代にかけて、ハーブやスパイスを薬としても香としても用いられ、治癒だけでなく、香りそのものが“癒し”と捉えられていた。
それなのに現代では、香りを“まとう派”と“嗅ぐ派”が分断されている。アロマを愛用する人の中には、香水を“合成香料の塊”と敬遠する声がある。一方で、香水愛好家の中には、精油ブレンドのアロマを“奥行きがもの足りない”と感じる人もいる。同じように香りを愛しているのに、互いに距離を置いている現実が、どこか不思議だ。
けれど私は、いずれこのふたつが重なり合う時代が来ると思っている。天然香料と合成香料、どちらが“良い”という単純な話ではなく、香りが「癒し」と「表現」のあいだを行き来できる、もっと自由な時代。
そんな未来を思わせるブランドのひとつが、ukaの「petitume(プチューム)」シリーズだ。
精油を主役にしながらも、“香水”としての完成度を持ち、香りをまとう喜びをきちんと感じさせてくれる。
「uka プチューム ガールズ オン ザ ビーチ」は、名前のとおり、海辺の陽射しと波音を思わせる軽やかさ。夕暮れのビーチ、サーフボードを小脇に抱え、波打ち際をゆっくり歩く風景をイメージして創られた。ベルガモットやレモン、ライムの透明感あふれるトップから、バニラミントの清涼感へ。そして、メロウで柔らかな余韻へ続いていく。太陽と潮風、そして笑い声が混ざり合うような、どこか懐かしく、心が洗われるような香り。
一方、「uka プチューム ナイティナイト」は、夜に寄り添うやさしい調べ。子どもたちが寝る前に口にする「おやすみなさい」と伝えるときのあかちゃん言葉から、インスパイアされている。パインとユーカリのすっきりとした印象とアーモンドのミルキーな甘さが重なるトップ。やがてローズやスミレのフローラルノートに、グリーンとスパイスが香りの幅を広げ、ウッディアンバー調の温もりが、夜の静けさと包容力を感じるドライダウン。静かな余韻をもたらしてくれる。
アロマと香水。
そのあいだにあるのは、癒しと表現の交差点。ukaの香りは、その境界を軽やかに越えてゆく。香りをまとうことが、心を整えることと同義になる──そんな時代の予兆を、この小さなボトルがそっと教えてくれる。

【掲載商品】
■uka
『uka プチューム ガールズオンザビーチ』
『uka プチューム ナイティナイト』
(各15mL 各¥7,150)
https://uka.co.jp/






