【ワークスタイル】ガーナでの生活と闘病経験から、ブランドを生み出す 大山知春さん(VIVIA JAPAN株式会社代表取締役)

大山知春さんが立ち上げたスキンケアブランドJUJUBODYのシアバターは、原材料名に「シア脂」としか書いていません。「なんでも手に入る日本で、本当にナチュラルな商品は実は手に入れにくいことに気が付き、では自分が!とブランドを立ち上げました」と話す大山さんに、お仕事について聞きました。


スタートは銀行勤務

――VIVIA JAPANという会社の代表取締役をなさっていますね。主に2つの事業を展開されているのですね。
そうです。一つは西アフリカで事業展開をしようとするお客様へのビジネスコンサルタントです。どちらかというと海外からのオファーが多いですね。まだ日本にとって、アフリカは遠い国なのかもしれません。

もう一つはJUJUBODYというオールナチュラル・スキンケアブランドです。モリンガオイル、シアバター、カカオバターを中心に、アフリカの天然素材を生産者から直接輸入し、販売しています。「JUJU」はアフリカの言葉で「魔法をかける」という意味。ガーナ在住の私のビジネスパートナー、カールが提案してくれました。

――もともと化粧品に興味があったのですか?
いえ、そうではないんです。大学卒業後はファイナンシャルコンサルタントとしてみずほ銀行に就職しました。そこで2年弱働いてから、外資系のコンサルティング会社に転職し、資産運用のコンサルティングを担当していました。その会社が日本法人を閉めてタイへ移ることになり、私もバンコクへ。そこで2年間働きました。

ただ、就職から5年ほど経つと、どのような案件もこなせるようになってきました。そこで、先のことを考えた時に、一度辞めて、MBAを勉強して独立してもよいし、また他の会社に移るのもよいかなと。それで29歳で会社を辞めて、オランダのビジネススクールへ留学しました。

横のつながりを大事にするアフリカ人

――留学経験が次の仕事へつながったのですか?
そうです。私が行った学校はMBAのクラスは38人。いろいろな国から留学生が来ていましたが、その中でアフリカ人やアジアの新興国から来ていた人たちと特に仲良くなりました。アフリカの人たちとはそれまで話す機会もなかったのですが、一緒に生活をしてみたら、周りの空気を読んで気を使ってくれたり、情があついところが日本人と似ていて。個を出すよりも、人とのつながりを大事にしていました。その中の一人が今のビジネスパートナーである、ガーナ人のカールです。

2013年オランダMBA卒業式にてガーナ人ビジネスパートナーと

 
――最初にアフリカに行かれたのは在学中ですか?
はい。卒業論文の一環で、マーケットリサーチのためにガーナに2カ月滞在しました。それで、まだこの国で事業展開がそれほどされていないオンラインショップができないかと思い、卒業後はガーナで起業してみたいと考えるようになりました。

そんな計画をしていた頃、前職で私のお客様だった日本人投資家の方とお会いして「卒業後は何をしたいの?」と聞かれて。この方は私が留学する時も応援してくださって、ブログも読んでくださっていたんですね。それで「同級生とガーナでオンラインショップをやってみたい」と言ったら、挑戦してみたらいいよと、投資を約束してくださったのです。まだ具体的な事業計画書なども何もない時点で。

2013年、ガーナでの初めてのマーケットリサーチ

 
最初は卒業後、資金のためにまず一度金融に就職することも考えていましたが、私に投資してくださるのであればガーナへ行こうと決心しました。

――ガーナ行きは、ご家族に反対されなかったのですか?
それまで私のすることに、一切反対をしなかった母が、この時だけは反対しました。母はインターネットなどをあまり使わないのですが、私の妹経由で、留学中のブログやFacebookへの書き込みを知り「まさかこの子、アフリカに行くのでは」と、薄々思ってはいたようなのです。

ガーナの友人と
ガーナのファッションイベントにて

 
卒業前に一時帰国して、そのことで大喧嘩。結局、私は黙ってガーナへ行き、現地から「これが私の新しい携帯番号だから」と母に連絡したのです。その時には母も予想していたのでしょうね。「気を付けて。忙しいだろうから、連絡はいらない」と、驚いてもいませんでした(笑)それで、本当にずっと連絡をしていなかったのですが、約1年後、私から「癌かもしれないから、日本の病院の予約をとってほしい」と電話をしたのです。

舌癌の経験から

――それはお母様も仰天されたのでは…。ガーナで体の異変に気付かれたのですか?

ガーナに在住時に、患部を確認するために自撮りしたもの。
インターネットで、自分と同じような写真を発見し、舌癌を疑い、日本で検査をすることに。

 
舌に口内炎のようなものができて。ただ当初は痛みがなかったのですが、だんだん大きくなって、ある日それがドクドクと痛み始めたのです。いろいろ調べて、どうも舌癌らしいと。帰国して日本の大学病院を受診したところやはりそうで即入院、手術。術後はガーナへ戻ろうかと思っていましたが、再発率の高い癌のため、3週間おきに検査が必要とわかり、ガーナ行きは無理。でも、こちらで就職したら、ガーナに関係ある仕事はできないなと。

――それでJUJUBODY立ち上げを思いついたのですか?
最初は事業というよりも、癌になってその後どういう生活をしていこうと考えた時に、なるべく新鮮なものを食べ、化学物質が含まれていないものを使って自分なりに健康に気を付けようと考えました。入院中に肌が荒れて、コンビニエンスストアでクリームを買ってきて付けたのですが、ぬるぬるするだけで潤わない。それで、ガーナで使っていたシアバターを思い出し、送ってもらったんですね。向こうでは生まれた時から使うもので、シアバターなくしては生活できないというほど、みんな使っています。

天然のシアバター

 
私も気に入って使っていたのですが、ふと、日本でもこれを売ることができないかと思いついてカールに相談したところ、「逆境に陥った時にどう対応するかで人間の価値はきまる、それはいい思い付きだからやってみたらいいよ」と言ってくれて。全面的に協力してくれることになったんです。ただ、向こうの商品をそのまま輸入して売るには、パッケージの問題などがあり難しく、ブランドを立ち上げることにしました。ネット販売が中心ですが、リピーターの方も増えてきています。

――今後の目標などはありますか?
100%のシアバターは、少し固いのですが、手にのせてあたためるとすーっととけて伸びます。日本は国全体が忙しくて、化粧品もなるべく便利に使えるものが好まれます。結果、たくさんの添加物が含まれてしまっています。それも、ガーナでの自然のリズムを大切にする生活と、病気の経験を経て見えてきたことです。自分の経験を通してわかってきた、本当に体にいいものを日本で紹介することで、日本の忙しい生活が少しでも豊かになればいいなと。また、その事業を通して、現地の生産者にもプラスになるような、いい循環を作っていければと思っています。

ガーナ人アートディレクターと
JUJUBODYのロゴも彼が作成してくれました。

大山知春さんのある日のタイムスケジュール

8:00 起床
8:00 身支度、朝食
モリンガパウダーをヨーグルトやシリアルと一緒に

モリンガの葉からモリンガパウダーは作られます

9:00 オンラインショップ運営事務
事務所に泊まり込むことも多いので、通勤時間は節約
10:15 移動
移動時間はSNSチェック、更新、メールチェックなどをします
11:00 ミーティング
12:00 ランチ
なるべくコンビニで済ませないようにしています
13:00 オンラインショップ発送作業
メールチェックなども同時に
14:00 来客ミーティング
16:00 オンラインショップ発送作業
19:45 移動>
20:30 ヨガ
ネットワーキングイベントやディナー予定がなければ、ヨガに
21:30 夕食
外食
22:15 移動
22:45 ガーナの会社とのコミュニケーション
入浴、ブログ更新、オンラインショップ運営事務なども行いながら
26:30 就寝

VIVIA JAPAN株式会社 代表取締役 大山知春
ファイナンシャル・コンサルタントとして、みずほフィナンシャルグループを皮切りに、東京、バンコクで勤務。
2013年、オランダのビジネススクール在学中に、ガーナで、MindNET Technologies Ltd を共同設立。
2015年、ガーナの伝統医療として用いられるモリンガやシアバターなどを活かした”アフリカの自然生まれのナチュラル・スキンケアブランド”「JUJUBODY」を日本で発表、展開中。
Nyenrode Business University MBA取得。
www.jujubody.com
www.viviajapan.com

お仕事を成功させるためのジンクスは?
ジンクスを気にしたことはありませんが、大事なミーティングの時には、気分が上がるので、下着は上下揃えて着ていると思います(笑)
あとは、「自分を信じること」だと思います。あまり、「難しい」「無理」と人に言われても、「つまらないこと言うな」ぐらいに思って、気にしません。頑固なぐらいの信念がないと、個性がなくなってしまうと思います。

アフリカンファブリックを使った手作り雑貨。
JUJUBODYのサイトから購入可能です。

オンとオフの切り替え方法は?
仕事が生活そのものなので、あまりオン・オフの切り替えはしていませんが、Netflixや海外ドラマを観ている時は、仕事を忘れますね。

休日の楽しみ方は?
休日は、午前中にヨガをして、午後、友人と会って買い物や食事に行くことが多いです。

家族のようなオランダのビジネススクール時代の友人と
ガーナ出張の際は、オランダを経由して、友人とキャッチアップするようにしています。

 
今、プライベートではまっていることは?
シングルオリジンの非加熱はちみつや、Bean to Bar チョコレートなどに、はまっています。食は、体を作るものですから、とても大事ですし、一番の楽しみでもあります。