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【MOVIE】たかが世界の終わり

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たかが世界の終わり

今、若くて美しくて天才肌の映画監督といえば、カナダ出身のグザヴィエ・ドランの名前が真っ先に挙がると思います。若干19歳にして鮮烈な映画デビュー作『マイ・マザー』(2009)を発表するやセンセーションを巻き起こし、その後も新作を放つ度に観る者を驚喜させ、長編5作目となる『Mommy/マミー』(2014)では、カンヌ国際映画祭審査員賞という栄冠も獲得。両作品ともタイトル通り母親や母性をテーマにした作品ですが、とくに『Mommy/マミー』では、ストーリーも然ることながら、画面を使ったキャラクターの感情表現が素晴らしい! 1:1の正方形サイズの画面でキャラクターの閉塞感を表現し、その世界観が広がった瞬間からフルスクリーンに変わります。ストーリーと音楽と映像がリンクした快感のシーンを、ぜひその目で確かめてほしいです!

前置きが長くなりましたが、そんなドラン監督の最新作の仏映画『たかが世界の終わり』を、2017年最初に紹介したいと思います。原題は『Juste la fin du monde(仏題)/It’s Only the End of The World(英題)』で邦題もそのままの意ですが、まずタイトルが良いですよね。何かを予感させるような。劇作家ジャン=リュック・ラガルスの戯曲「まさに世界の終わり」を基にし、ドランが監督・脚本を手がけた本作は、愛しているのに傷つけ合うある家族の1日を描いています。

「もうすぐ死ぬ」と家族に伝えるために、12年ぶりに帰郷する人気劇作家のルイ(ギャスパー・ウリエル)。息子の好きな料理を用意する母マルティーヌ(ナタリー・バイ)と、幼い頃に別れた兄を覚えていない妹シュザンヌ(レア・セドゥ)は再会に浮足立つが、兄のアントワーヌ(ヴァンサン・カッセル)は素っ気ない態度で主人公を出迎える。ルイとは初対面のアントワーヌの妻カトリーヌ(マリオン・コティヤール)も含めた食事の席では、終始ぎこちない会話が続き、アントワーヌの激しい言葉を合図に、それぞれが隠していた思わぬ感情がほとばしる……。

たかが世界の終わり

本作には、フランスを代表する俳優陣が集結し、現代に生きるすべての人が共感する、愛しているのにうまく想いを伝えられないミスコミュニケーションに陥った家族を描き、昨年のカンヌ国際映画祭コンペティション部門でグランプリを受賞しました! ドラン監督は「これから“何か”が起こるんじゃないか」と思わせる演出が絶妙で、今回もその緊張感にどんどんと引き込まれました。

たかが世界の終わり

また、その溢れんばかりの才能とカリスマ性を併せ持つ神童の快進撃は留まるところを知らず、2015年には英アーティスト、アデルが切望して彼女の楽曲「Hello」のMVを監督し、約17億回再生という脅威の記録を樹立。さらに2016年はその端正な容姿から「ルイ・ヴィトン」のアンバサダーとして広告に起用されるなど、映画界のみならず、その存在自体が新時代のアイコンとして、世界のカルチャーシーンを席巻し続けています。

The #LouisVuitton Men's Autumn-Winter Campaign by @mrkimjones with Xavier Dolan, photographed by Alasdair McLellan

Louis Vuitton Officialさん(@louisvuitton)が投稿した写真 –

そんな彼の次回作は『The Death and Life of John F. Donovan(原題)』(2017)で、初の英語作品に挑戦。主役のゴシップ雑誌の編集長役にジェシカ・チャスティンを迎え、共演にナタリー・ポートマン、スーザン・サランドンら豪華キャストが名を連ね、早くも話題に。これ、間違いなく面白いでしょう。次回作も楽しみです!

映画界に新しい息吹を吹き込む27歳のドラン監督が描く、現代の愛の物語『たかが世界の終わり』。怒りも憎しみも悲しみも、そのすべてが愛だと気付く時、絶望の中にこそ希望があることを知ります。作品ごとに進化しているドラン監督が辿り着いた、家族の愛の答えとは? 驚きのクライマックスを劇場で観届けてください!

たかが世界の終わり
たかが世界の終わり 
2月11日(土)新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー
http://gaga.ne.jp/sekainoowari-xdolan/
(C)Shayne Laverdiere, Sons of Manual

 

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國方 麻紀(くにかたまき)

國方 麻紀(くにかたまき)

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香川・丸亀出身、東京・吉祥寺在住のアラフォーのエディター・ライター。
女性誌『ELLE JAPON』『VOGUE JAPAN』のウェブ・エディターを経て、現在はフリーに。
好きな映画のジャンルは、バイオレンスや時代劇、B級など。
「このコラムを読んで普段観ないようなジャンルの映画にも興味を持ってもらえたらうれしいです!」

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