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私のごきげんな毎日

サウスポー

シネマキアート

ボクシング映画に外れなし! 今回紹介する『サウスポー』でもまたそれが証明されました。

命懸けのファイトをしながらのし上がっていくボクサーのサクセスストーリーと、そのボクサーを取り巻く人間ドラマが好きで、金字塔『ロッキー』(1976)をはじめ、『レイジング・ブル』(1980)や『ザ・ファイター』(2010)など、名作揃いのこのジャンルをよく観ます。昨年末に公開された「ロッキー」シリーズの新章『クリード チャンプを継ぐ男』(2015)は、仲良しの女性ライターさん二人と一緒に観たのですが、過去の名シーンを思い出しつつ、愛に溢れるストーリーに女三人大号泣でした。女性の皆さんは、あまり興味がないジャンルかもしれませんが、本作ではぜひ主人公と幼い娘との親子愛に注目して観て欲しいと思います。

サウスポー

世界ライトヘビー級王者のビリー・“ザ・グレート”・ホープ(ジェイク・ギレンホール)は、ある事件で妻モーリーン(レイチェル・マクアダムス)を亡くしてしまう。悲しみに暮れ自暴自棄な生活を送るうちに、世界チャンプの称号や仲間、そして一人娘レイラ(ウーナ・ローレンス)までも失ってしまう。そんなどん底の境遇の中で、ビリーはアマチュアボクサーのトレーナー、ティック(フォレスト・ウィテカー)に救われ、父として、ボクサーとして、最愛の娘のために自分を変え、再びリングに上がることを決意する。

サウスポー

本作は転落したボクサーの復活劇を描いた正統派のボクシング映画でありながら、同時に亡き妻との強い絆を描いたラブストーリーであり、父親と娘が成長していく親子の物語でもある、心を揺さぶる珠玉の愛のドラマです。最愛の娘を守ることができない憤りや葛藤を、ビリー役のジェイク・ギレンホールは繊細に表現しています。そして、勿論ファイトシーンも見応え充分です。ジェイクは、昨年紹介した『ナイトクローラー』(2015)でのガリガリの体型から、半年間の過酷なトレーニングを経て、ライトヘビー級のボクサー体型へと劇的な変貌を遂げ、特殊効果や編集にほぼ頼らず、ノースタントで演じきっています。最後のファイトシーンは本当に圧巻です! 米メディアは、『ナイトクローラー』では 『タクシードライバー』(1976)を、本作では『レイジング・ブル』を引き合いに出し、ジェイクは次期ロバート・デ・ニーロと呼ばれています。ジェイクもそうですが、クリスチャン・ベール、ジャレッド・レトの徹底的な役作りには毎度狂気を感じます。

サウスポー

そして、娘レイラ役のウーナちゃんがこれまた素晴らしい。オーディション時にジェイクは当時12歳の彼女を絶賛し、「僕は彼女について行こうと思ったんだよ」と話したほど。母親を亡くした不安と悲しみを小さな体で背負うその儚げな姿は、多くの観客の涙を誘うでしょう。段々、不思議と母親役のレイチェルに似ていくのもスゴい。

「『サウスポー』はボクシングだけじゃない! 僕の彼女を連れて行ったら完全にこの映画に惚れてたよ」(彼女とは、ヴィクトリアズ・シークレット“エンジェル”のべハティ・プリンスルー)と、マルーン5のアダム・レヴィーンもコメントしているように、女性の皆さんも本作を観れば間違いなく熱くなるはず。感動の人間ドラマをぜひ劇場で!

サウスポー

サウスポー
6月3日(金)全国ロードショー
Artwork (C) 2015 The Weinstein Company LLC. All Rights Reserved.

フリーランス エディター・ライター國方 麻紀(くにかたまき)
香川・丸亀出身、東京・吉祥寺在住のエディター・ライター。
女性誌『ELLE JAPON』『VOGUE JAPAN』のウェブエディター、ウェブサイト「GLAM」「tend」「BRASH」統括編集長を経て、現在はフリーランスに。好きな映画のジャンルは、バイオレンスや時代劇、B級など。
「このコラムを読んで普段観ないようなジャンルの映画にも興味を持ってもらえたらうれしいです!」
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